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確勝を期すマイルCS。絶対女王グランアレグリアに「らしくないレース」が頭をよぎる不安

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

「2000は長い。1600のほうがいい」

"3強"対決に注目が集まったGI天皇賞・秋(10月31日/東京・芝2000m)で、3着に敗れたグランアレグリア(牝5歳)の鞍上、クリストフ・ルメール騎手の敗戦の弁だ。

 やはりこの馬にとって、2000mは長かったのだ。

 まして、この日の馬場状態は「良」発表ながら、直前に降った雨の影響で少し湿り気を帯びていた。グランアレグリアとしては、湿った馬場に持ち前のスピードを削がれた感があった。だとすれば、敗戦もやむなし、だろう。

 また一方で、こんな見方もある。競馬専門紙記者が言う。

「グランアレグリアは確かに負けましたけど、先着したのはエフフォーリアとコントレイル。今の日本の競馬界において、芝の2000mを走らせたら1、2を争う強い馬たちです。

 これらと1馬身ほどの差ですからね。パンパンの良馬場だったら、もっと際どかったはず。負けてなお強し、です。天皇賞・秋の3着は、むしろグランアレグリアの能力の高さを改めて示したと言えるのではないでしょうか」

 要するに、グランアレグリアの2000m戦への挑戦は決して無謀なものではなかった。あくまでも、一線級相手には若干距離が「長かった」だけだ。

 しかも、グランアレグリアには運がなかった。

 スプリント、マイル路線の"絶対女王"となって、今年は2000m戦のGIに2度チャレンジしたが、いずれも馬場に恵まれなかった。最初のGI大阪杯(4着。4月4日/阪神・芝2000m)は泥田のような極悪馬場となり、2度目の天皇賞・秋も前述したとおりだ。

 一度でいいから、グランアレグリアが最も得意とするパンパンの良馬場で走らせてあげたかった――そう思うのは、彼女の関係者だけではないだろう。

 ともあれ、そうしたうっ憤も晴らすべく、グランアレグリアに用意された次なる戦いの舞台はGIマイルCS(11月21日/阪神・芝1600m)となった。

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