新種牡馬キタサンブラックの子、ラスールは「注文をつけるところがない」仕上がり

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

厳選!2歳馬情報局(2021年版)
第20回:ラスール

 GI通算7勝を挙げて、2016年、2017年と2年連続でJRA賞年度代表馬に輝いたキタサンブラック。引退後は種牡馬入りし、最初の産駒となる2歳世代が今年、次々にデビューしている。

 そんな初年度産駒のなかでも、注目度の高い一頭がまもなく初陣を迎える。美浦トレセンの藤沢和雄厩舎に所属するラスール(牝2歳/父キタサンブラック)である。

シャケトラの妹として注目を集めるラスールシャケトラの妹として注目を集めるラスールこの記事に関連する写真を見る 同馬が注目されるのは、母サマーハが繁殖牝馬として勝ち馬を何頭も送り出しているからだ。なかでも、彼女の知名度を高めたのは、2013年に産んだシャケトラ(牡/父マンハッタンカフェ)。デビューが3歳の6月と遅かったものの、その初陣を飾ると着実に結果を積み重ねていった。

 その後、古馬になってからは重賞戦線で奮闘。条件馬の身で挑んだGII日経新春杯(京都・芝2400m)で2着となると、続くGII日経賞(中山・芝2500m)で重賞制覇を決めた。

 以降は、GIでの戦いを続けたが、そこで結果を残すことはできず、5歳時には骨折で1年以上も戦列を離れることになった。それでも、6歳春に復帰すると、GIIアメリカジョッキークラブC(中山・芝2200m)、GII阪神大賞典(阪神・芝3000m)と連勝。いよいよ悲願のGI制覇なるか、期待された。

 だが、GI天皇賞・春(京都・芝3200m)に向けて調整されているなかで再度骨折。予後不良となってしまった。「これから」という時だっただけに、関係者やファンの間では今なお、胸痛む出来事として記憶に残っている。

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