天皇賞・秋は2強が断然ムードも「劇薬」背にしたあの馬が一角崩すか (2ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro

 ただ、大切に使われてきた分、まだまだキャリアが浅く、よくも悪くも"未知数"の部分が多いのが、今のサートゥルナーリアです。

 そして今回、唯一負けてしまったGI日本ダービー(4着。5月26日/東京・芝2400m)を思い返してみても、テン乗りとなるクリストフ・スミヨン騎手へ乗り替わるのは、懸念材料となります(※ダービーでは、騎乗停止のクリストフ・ルメール騎手に替わって、ダミアン・レーン騎手が騎乗)。

 加えて、神戸新聞杯から中4週での出走。普通の馬にとっては、ちょうどいい間隔での叩き2走目となりますが、これまでもレースごとに放牧を挟み、間隔を取りながら目標の一戦に向けて仕上げてきた馬ですから、単純に「2戦目の上積みがある」とは考えづらい面があります。

 スタートにおいても、ホームストレッチからの発走だったダービーに比べればマシですが、それでも非常に多くの観衆が詰めかける『天皇賞デー』ですから、ダービーの時のようにイレ込んで、出遅れてしまう懸念もあります。

 結局、ダービーの時と同じく、負けたあとの言い訳になる材料はいくらでもある、というのが、今回のサートゥルナーリアではないでしょうか。僕が「7割くらい」と言うのは、そういうことです。

 もちろん、こういった不安要素がすべて杞憂に終わるならば、アーモンドアイとの一騎討ち、さらには圧勝というシーンも見えてくるでしょう。

 アーモンドアイに関しては、「今さら言うことはないな」というのが正直なところ。それこそ、安田記念のように大きな不利があって、なおかつ展開にも恵まれず......というレースにさえならなければ、負けるシーンはなかなか考えづらいところです。

 凱旋門賞に挑戦しない、という話を初めて聞いた時は少しがっかりしましたが、この秋の国内専念は、結果を出すことを優先してのもの、ということ。それだけの活躍を、大いに期待したいと思っています。陣営としても、連勝が止まっての仕切り直しの一戦ですから、勝利にこだわっているはずです。

 いずれにせよ、今年の天皇賞・秋は「アーモンドアイとサートゥルナーリアの戦い」ということは、競馬ファンなら誰しもが考えることでしょう。つまり、馬券という意味では、その先、3番手以降の評価が大切になってきます。

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