親子2代オーナーの夢を紡ぐ。ニシノデイジーの成長がものすごい

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Sports Nippon/Getty Images

2019年クラシック候補たち
第4回:ニシノデイジー

 競走馬のオーナーにとって、自ら生産・所有した馬たちが血をつなぎ、やがてそこから活躍馬が出ることは、このうえない喜びのひとつだろう。

 今春の3歳クラシックにおいて、そんなストーリーを持った有力馬がいる。高木登厩舎(美浦トレセン/茨城県)に所属するニシノデイジー(牡3歳/父ハービンジャー)である。

 同馬の馬主である西山茂行氏は、「ニシノ」や「セイウン」の冠名で知られるオーナー。父の西山正行氏が馬主や生産牧場の事業をスタートし、数々の名馬を持つ一大勢力を築いた。茂行氏はそれを受け継いで、今なお日本の競馬界で輝かしい活躍を見せている。

 そんな親子2代のオーナーにとって、ニシノデイジーはまさに"歴史の結晶"と言える。

 同馬の3代母ニシノフラワーは、1992年のGI桜花賞(阪神・芝1600m)、同年のGIスプリンターズS(中山・芝1200m)を制した名牝。同じく3代父のセイウンスカイは、1998年のGI皐月賞(中山・芝2000m)とGI菊花賞(京都・芝3000m)を勝った二冠馬である。

 どちらも、ともに西山牧場の生産馬であり、西山オーナーが所有していた馬だ。そして、そのニシノフラワーとセイウンスカイをかけ合わせて生まれたのがニシノミライ。さらに、そこからニシノヒナギクという牝馬が生まれ、そのニシノヒナギクがニシノデイジーを生んだのである。

 ニシノデイジーは、デビュー戦こそ2着に敗れたものの、続く未勝利戦をきっちり勝ち上がると、GIII札幌2歳S(2018年9月1日/札幌・芝1800m)を勝利。3コーナーから一気にまくっていって、息の長い末脚を駆使して熾烈な叩き合いを制した。

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