絶対女王アーモンドアイ。牝馬三冠達成へ、2つの不安要素が明るみに (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Yoshifumi Nakahara/AFLO

 木村記者が指摘するとおり、秋華賞の登録馬を見てみると、オークスの上位馬はアーモンドアイの他、3着に入ったラッキーライラックのみ。2着リリーノーブル、4着レッドサクヤ、5着マウレア、6着サトノワルキューレの名前はない。さらに、近年多くの勝ち馬を出しているトライアルの紫苑S(9月8日/中山・芝2000m)を圧勝したノームコアも出走を見送った。

「最大のライバルと目されている2歳女王のラッキーライラックも、オークス3着のあと、ここまでの順調さを欠いた状態での出走です。せめてタレントがそろっていれば、むしろ穴党としては『アーモンドアイ、危うし』と考えたいところですが、こうもライバルがいないとなると、三冠達成はかなり"濃厚"と言わざるを得ません」

 スティルインラブにはアドマイヤグルーヴ、ジェンティルドンナにはヴィルシーナといった、春からライバル関係にあった馬たちが、この三冠最終戦でもその勝利を脅かしてきた。そういった相手もいないとなれば、春の時点で他馬より一歩も二歩も上回るパフォーマンスを発揮してきたアーモンドアイが負けるシーンはとても想像できない。

「ただ、取りこぼす可能性も"ない"とは言えません」

 木村記者があえてそう言うのも、やはり秋華賞の特殊な舞台設定にある。木村記者が続ける。

「あのジェンティルドンナにしても、三冠のうち、最も苦戦したのが、秋華賞でした。京都の内回り・芝2000mは、底力というよりは、小脚の使える器用さが求められるようになっています。

 昔はなぜかハイペースになって、直線一気がハマッたりもしていましたが、それで勝ったのは伏兵ばかり。逆に、本命クラスは(勝ちにいって)自分で動いていこうとして、器用さ勝負であたふたしている間に前の馬に出し抜かれたり、そこで脚を使ったことで最後に差されたりして、取りこぼすことがあります」

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