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「千直」を知る大西直宏が言う。
アイビスSDはレッドラウダが要注意

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 今週から夏の新潟開催がスタートします。例年、学校などの夏休みが始まる時期と重なることもあって、福島から新潟に舞台が移ると、「本格的に夏競馬が始まったな」という感じがしますね。

 開幕週の重賞は、今年で17回目を迎えるアイビスサマーダッシュ(7月30日/新潟・芝1000m)。ご存知のとおり、国内で唯一の直線・芝1000mコースで行なわれる、新潟開催の"名物重賞"です。

 僕は現役のとき、カルストンライトオでこのレースを2回勝たせてもらっています。最初に勝ったときの53秒7という時計は、今でもレコードとして残っています。

 当時、アイビスSDは8月の盆休みの頃に行なわれていました。しかも、夏の新潟は8週開催で、同レースが行なわれたのは6週目。馬場も結構荒れてきていました。現在は開幕週に行なわれているため、いつレコードが塗り替えられてもおかしくありませんが、いまだに破られていないということは、騎乗していたイメージどおり、カルストンライトオは本当に速かった、ということですね。

 さて、直線の芝1000m、いわゆる"千直"で行なわれるこのレース。コース自体は非常にシンプルですが、意外と奥が深く、駆け引きが必要な舞台です。

 まずはスタート。ゴールまでの距離が短いため、やはりゲート(出足のよさ)とダッシュ力は不可欠です。ゲートが苦手な馬は基本的に使ってこないと思いますが、出遅れは本当に致命的です。

 また、逆に好スタートを切れることは大きなアドバンテージになります。そのため、僕も現役時代は、千直のレースに騎乗するときだけは、いつもと違う御(ぎょ)し方でスタートしていました。

 同様に、好位置を取るために大事なのがダッシュ力。仮に千直では不利と言われる内枠に入った馬でも、ゲートがよくて、ダッシュ力があれば、スタート後にいい位置を確保することができますからね。

 そして、何より重要なのは、道中のタメ。1000mという距離は、競走馬がひと息で走れる距離ではありません。どこかで息を入れなければ、終(しま)いが甘くなります。

 1200mのレースで、好スタートを切って逃げながらも、最後は止まってしまう馬を見て、「1000mなら持つのでは?」と考える方がいると思いますが、それは1000mのレースであっても同じ。息が入らなければ、最後は止まります。逆に、千直のほうがテンに速い分、よりシビアな競馬を強いられることになるでしょう。

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著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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