皐月賞「3強」の一角崩しも、やはり福永のアドマイヤダイオウ

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 牡馬クラシック第1弾の皐月賞(中山・芝2000m)が、4月17日に開催されます。

 昨年は、ドゥラメンテ、リアルスティール、そしてキタサンブラックと、皐月賞の1、2、3着馬がその後のクラシックも賑わせました。ドゥラメンテが日本ダービーを制して二冠を達成。菊花賞ではキタサンブラックが戴冠し、リアルスティールが2着と奮闘しました。

 さらに年が明けると、ドゥラメンテは中山記念を勝って、ドバイシーマクラシック(芝2410m)でも落鉄の不運がありながら2着と健闘。リアルスティールは、ドバイターフ(芝1800m)を快勝してGI馬に輝きました。キタサンブラックも、昨年末の有馬記念3着のあと、先日の大阪杯で休み明けながら2着と好走。それぞれ、現在の競馬界のトップに君臨する活躍を見せています。それらの結果は、レベルの高い世代だったという証明でもあるでしょう。

 しかし驚くことに、今年の3歳牡馬世代はその昨年をしのぐほど「高いレベルにある」と言われています。しかも、1頭、2頭の馬が抜けているのではなく、全体的にハイレベルにある、と。実際、皐月賞と同じ舞台で行なわれた前哨戦、弥生賞(3月6日/中山・芝2000m)のレースを見た方なら、誰もがそう思ったのではないでしょうか。

 時計やラップなど数字的なことはもちろんですが、騎手の立場から見てもその内容は桁違いのもので、本当にレベルの高い一戦でした。とりわけ上位3頭は抜けていて、勝ったマカヒキ(牡3歳)と2着リオンディーズ(牡3歳)は五分の実力を示しました。3着に敗れたエアスピネル(牡3歳)は、それら2頭とはやや勝負付けが済んでしまった印象がありますが、鞍上は名手・武豊騎手。本番では何か仕掛けてくるかもしれませんね。

 この弥生賞上位組が、今年の3歳牡馬の番付最上位と見ていますが、そこにもう一頭加えたいのが、きさらぎ賞(2月7日/京都・芝1800m)から直行で皐月賞に臨む、サトノダイヤモンド(牡3歳)です。実は僕個人としては、この馬に最も注目しています。

 これまで3戦3勝のサトノダイヤモンド。そのすべてのレースで大人びた競馬を披露し、とにかく乗っていて「安心できる」タイプだと思いました。折り合いの心配もなく、仕掛ければ即反応し、加速力も桁違い。特に抜け出すときの脚は、GI馬のそれですね。弥生賞組にもまったくヒケをとらないと思っています。

 鞍上は、ルメール騎手。先週の桜花賞では、断然の1番人気だったメジャーエンブレムの手綱を取りましたが、人気を裏切ってしまいました(4着)。これまで経験してこなかった揉(も)まれる競馬を強いられ、さらに道中、厳しいプレッシャーをかけられ続けたことが影響したように思います。

 とはいえ、勝ったジュエラーに騎乗して「ここぞ」というところで再び勝負強さを見せつけたミルコ・デムーロ騎手に比べると、ルメール騎手にとっては「大舞台ではやや勝負強さに欠ける」といったイメージを一層強めた敗戦でした。今回、そのイメージが残っているでしょうし、またもデムーロ騎手がリオンディーズという有力馬に乗ることで、サトノダイヤモンドの人気は先週までよりも落ちそうです。

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