【競馬】マイルCSの「大穴」は、桜花賞馬レッツゴードンキ

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 いよいよ佳境に入ってきた秋のGIシリーズ。11月22日には、秋の「マイル王」を決めるマイルCS(京都・芝1600m)が開催されます。

 安田記念(6月7日/東京・芝1600m)を制した春の「マイル王」モーリス(牡4歳)は、前哨戦を使わずにぶっつけで挑んできました。当初は、毎日王冠(10月11日/東京・芝1800m)をステップにして臨む予定だったようですが、体調が整わなくて回避。ここまでの過程で、順調さを欠いてしまったことは残念ですね。

 先のエリザベス女王杯(11月15日/京都・芝2200m)でも、復帰予定が延び延びになって、ぶっつけで挑んできたルージュバック(牝3歳)は、いかにも"休み明け"という負け方(4着)でした。馬場適性もあるのかもしれませんが、強烈な決め手を持つ馬が後ろから差されてしまいましたからね。レースを1回使っていれば、また違う結果が出ていたのではないでしょうか。

 そうした例を踏まえても、モーリスに対する心配は拭えません。もし凡走という結果に終わった場合、やはり"休み明け"というのが、その理由になるでしょうね。

 春の「マイル王」が不安を抱える中、まず注目したいのは、イスラボニータ(牡4歳)です。

 昨春のクラシックでは、皐月賞(2014年4月20日/中山・芝2000m)を制覇し、ダービー(2014年6月1日/東京・芝2400m)では2着。秋は、距離適性を考慮して、菊花賞(京都・芝3000m)ではなく、天皇賞・秋(2014年11月2日/東京・芝2000m)に参戦し、一線級の古馬相手に3着と好走しました。その後、ダービーの実績からジャパンカップ(9着。2014年11月30日/東京・芝2400m)に挑みましたが、実は当時から「マイルCSに出てきたら、面白い存在になるだろうな」と思っていました。

 それから1年後、今年は天皇賞・秋(3着。11月1日)を経て、実際にマイルCSに出走してきました。待望していた舞台だけに、楽しみが膨らみます。

 鞍上は、エリザベス女王杯をマリアライト(牝4歳)で制した蛯名正義騎手。絶妙なタイミングで仕掛けて、1番人気のヌーヴォレコルト(牝4歳)を退けました。

 蛯名騎手は、その前週のGII京王杯2歳S(11月7日/東京・芝1400m)でも、ボールライトニング(牡2歳)に騎乗して快勝。翌日のGIIアルゼンチン共和国杯(11月8日/東京・芝2500m)でも、メイショウカドマツ(牡6歳)の手綱をとって際どい2着と健闘しました。大きい舞台での好騎乗が目立つ今、本当にリズムよく乗れているのだと思います。

 振り返れば、昨年12月、蛯名騎手は関西圏で2歳のGI戦(阪神ジュベナイルフィリーズ、朝日杯フューチュリティS)を2週連続で制しています。今年もまた、関西圏でのGI連勝がありそうですね。

 エリザベス女王杯とは距離が違いますが、舞台は同じ京都の芝外回り。切れるタイプではありませんが、長くいい脚を使えるイスラボニータなら、マリアライトと同じイメージの仕掛けでドンピシャでしょう。

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著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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