【競馬】中小牧場の活性化へ。外国人牧場長から「日本」への提言

  • 河合力●文 text&photo by Kawai Chikara

『パカパカファーム』成功の舞台裏
連載●第48回

パカパカファーム代表のハリー・スウィーニィ氏は、中小規模の牧場が発展するために、さまざまなアイデアを胸に秘めているという。そこで今回は、馬産地を取り巻く環境を踏まえつつ、中小牧場が活性化していくための提案を紹介していく――。

夕暮れどきのパカパカファーム。夕暮れどきのパカパカファーム。 サラブレッドの生産牧場にとって、もっとも大切な存在と言えるのは、「繁殖牝馬」だ。牧場に繋養(けいよう)されている繁殖牝馬が、どんな仔馬を生むかによって、牧場の利益に関わってくるからだ。だからこそ、どの牧場でも、常に優秀な繁殖牝馬を探し回っている。

 パカパカファーム代表のハリー・スウィーニィ氏も、「年間を通して、どこかにいい繁殖牝馬がいないか、探している」という。そしてそのために、1年のうち数カ月間は海外へ出向き、牧場やセリ市を回っている。2012年の日本ダービーを制した同牧場の生産馬ディープブリランテも、スウィーニィ氏が海外で見つけてきた繁殖牝馬から生まれた仔だった。

 ただし、海外から繁殖牝馬を持ち込む際には、さまざまな問題がある。スウィーニィ氏はそれを、「できれば、国に改善してほしい」と訴える。

「最大の問題は、関税です。日本では、繁殖牝馬を輸入するとき、その牝馬が受胎(※妊娠している状態)していると、340万円もの関税がかかってしまうのです。これは、中小牧場にとっては大きなダメージ。せっかく1000万円以下のお手頃な繁殖牝馬を見つけても、結局、関税によって高額な資金が必要になりますからね。この関税があるために、小さな牧場では、海外から繁殖牝馬を輸入しにくい状況にあるんです」

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