【競馬】クラシックの足音。きさらぎ賞と共同通信杯を血統で斬る (3ページ目)

  • 平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Nikkan sports

 ドゥラメンテ(牡3、美浦・堀宣行厩舎)は父キングカメハメハ、母がGIエリザベス女王杯2連覇のアドマイヤグルーヴという良血で、きさらぎ賞に出走するポルトドートウィユとはいとこ関係になる。中1週の出走となるが、今回と同条件だった前走セントポーリア賞は、5馬身差をつける圧勝劇。すでに“世代最強か”という声も聞かれており、ここでも圧巻の走りを見せる可能性は十分だ。

 このレース不振のディープインパクト産駒も軽視は禁物だろう。アヴニールマルシェ(牡3、美浦・藤沢和雄厩舎)はGIII新潟2歳S(新潟・芝1600m)、GIII東京スポーツ杯2歳S(東京・芝1800m)と重賞で連続2着の実力馬。祖母キョウエイマーチは桜花賞馬と、血統背景も優秀だ。

 1戦1勝のリアルスティール(牡3、栗東・矢作芳人厩舎)も注目の存在。ダービー馬キズナやGIエリザベス女王杯のラキシスと同じく父ディープインパクト、母の父ストームキャットという配合だ。いとこに昨年の英GIヨークシャーオークスの勝ち馬タペストリーがいて、3代母が米GIブリーダーズカップ・マイル連覇のミエスクという世界的良血馬。現役で4勝を挙げている全兄ラングレーを超える逸材と見られている。

 デビュー2連勝後のGIII京成杯では9着に敗れたタケルラムセス(牡3、美浦・田村康仁厩舎)。キングカメハメハ産駒はこのレースに良績がないが、母がGIIローズS勝ち馬のヒシピナクルで、GI2勝のヒシアマゾンや、GI3勝で9年前の勝ち馬でもあるアドマイヤムーンなどと同じ名牝系出身という魅力の血統である。
 
 ミュゼエイリアン(牡3、美浦・黒岩陽一厩舎)は父スクリーンヒーローも母の父エルコンドルパサーもGIジャパンCの勝ち馬で、叔母エリンコートはオークス馬。遡(さかのぼ)るとダービー馬フサイチコンコルドとも同牝系で、ダービーの舞台である東京芝2400mを思い起こさずにはいられない血統馬である。勝ち負けだけではなく、“距離が延びたらどのように走りが変わるか”というテーマでもその走りを注目したい。
 
 その他にも、ディープインパクト産駒ティルナノーグ(牡3、栗東・松永幹夫厩舎)、アンビシャス(牡3、栗東・音無秀孝厩舎)、ハービンジャー産駒ショウボート(牡3、栗東・石坂正厩舎)、スワーヴジョージ(牡3、栗東・庄野靖志厩舎)など注目馬が目白押し。きさらぎ賞とこの共同通信杯で、今年のクラシック戦線の“推し馬”を見つけ出して欲しい。

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