【競馬】影薄いディープ産駒。阪神JFで示される「ハーツ時代」 (3ページ目)
コートシャルマンは、7月の2歳新馬(中京・芝1400m)でデビュー。きっちり勝利を収めると、3カ月の休養を挟んで臨んだりんどう賞(10月12日/京都・芝1400m)も快勝した。2戦とも2着馬との着差は僅差だったものの、能力の高さを十分に証明。堂々とGIの舞台に駒を進めてきた。
コートシャルマンのデビュー前、育成を担当していた社台ファームの青田力也氏は、「幼い頃から、見る度に『いい馬だなぁ』と思っていた」と語る。
「コートシャルマンの兄は、2012年のGI安田記念を制したストロングリターン(牡)。また、姉には2013年のGI桜花賞で2着と健闘したレッドオーヴァル(牝4歳)がいます。このような血統背景から、はからずもコートシャルマンに対する期待は大きくなってしまいました。にもかかわらず、育成段階からこちらの高い期待に応える成長を見せてくれたんです。調教で負荷を上げても、へこたれたことはありません。本当に手がかからず、順調にメニューをこなした一頭でした」
これまでの2戦で見せた能力はもちろん、不安のないレースぶりもコートシャルマンの魅力。競馬に行けば、騎手に抵抗する素振りなど一切見せず、ゴール前ではきっちりと先頭をとらえる。そのレースぶりからは、若駒らしからぬ“クレバーさ”が感じられた。
「同世代の馬たちの中でも、(コートシャルマンは)ひと際顔立ちがキリッとしていて、賢そうでしたね。世話をしていたスタッフも、『うっかりすると、(人間の心の内を)見透かされてしまいそうな雰囲気がある』と言っていました。そういう意味でも、小さい頃からかなり印象の強い馬でしたね」
青田氏やスタッフの感じていた“賢さ”が、レースでも発揮されているのだろう。
それでも、管理する松永幹夫調教師からは「まだまだ成長途上の段階」という声が聞こえてくる。それはつまり、まだ余力がふんだんにあるということ。阪神JFの結果次第では、来年のクラシック戦線の“主役”となることは間違いない。
種牡馬になっても、「打倒・ディープンイパクト」の一番手にあるハーツクライ。その父が送り出すコートシャルマンは、新たな代表産駒として、世代を引っ張る存在となるのか。そして、いよいよ時代の中心は、ディープ産駒からハーツクライ産駒へと移っていくのか。うら若き2歳牝馬の頂上決戦とはいえ、阪神JFは見逃せない一戦となる。
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