【競馬】血統馬2騎が逆襲。池江調教師が語る「ダービーこそ最大目標」
日本ダービー特集(3)
トゥザワールド&トーセンスターダム編
GI競走、それもサラブレッドにとって一生に一度のクラシックで、上位人気に推されるということは、非常に誇らしいことである。ただし、それはレース前までの話。それまでの過程と示してきた能力に、ファンがいかに高い評価を与えようとも、結果が出なければ、消長(しょうちょう)の激しい競馬界の歴史に名を残すことはできない。
皐月賞では惜しくも2着に敗れたトゥザワールド。 牡馬クラシック第1弾の皐月賞(4月20日/中山・芝2000m)、全国リーディングトレーナーのトップを争う池江泰寿調教師(5月27日現在、26勝で1位)は、同レースにトゥザワールド(牡3歳)とトーセンスターダム(牡3歳)の2頭の人気馬を送り込んだ。前者は、デビュー戦こそ2着に敗れたが、2戦目以降は4連勝を飾って1番人気に推された。後者は、デビュー以来無傷の3連勝で3番人気に支持されていた。しかし、結果は周知のとおり、2番人気のイスラボニータ(牡3歳)が外から伸びて戴冠。トゥザワールドは勝ち馬とともに見せ場を作ったが2着に敗れ、トーセンスターダムは本来の伸びを欠いて11着に沈んだ。
トゥザワールドは、大外からふたつ目の17番枠からのスタート。ゲートが開いて、18番枠のウインフルブルーム(牡3歳)が先手をとる形になり、トゥザワールドはそれについていく形で3番手に続いた。
「外枠からポジションをとりにいったことで、少しハミ(※)を噛んで(力んで)いたところもありました」と、鞍上の川田雅将騎手は振り返ったが、それは想定の範囲内。道中は大きな不利もなく、先行するウインフルブルームを射程に入れつつ、4コーナーまでじっくり追い出しを持つと、外から追い上げてきたイスラボニータとともに直線を向いて一気にスパートした。
※馬の口に噛ませる棒状の金具。それが騎乗者の手綱につながっていて、騎手は手綱からハミを通じて馬を動かす。
非の打ちどころのない完璧な組み立ての、正攻法の競馬だった。だが、イスラボニータの立ち回りは、完璧のその上をいっていた。
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