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【競馬】素質馬ダービーフィズ。AJCCで「大化け」なるか

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 1月26日、中山競馬場で開催される重賞は、アメリカジョッキークラブカップ(以下、AJCC)。今年の古馬GI戦線を占う一戦としても、注目されているレースです。

 実施されるコースは、外回りの芝2200mです。例えば、内回りの芝2000mであれば、向こう正面にも直線があるのですが、外回りの場合はトリッキーな中山マイル(1600m)戦と同様、向こう正面が楕円形状になっていて、コーナーをずっと回っている感覚になります。非常に乗り難しくて、この設定で開催されるレースも少ないため、私自身、最後まで慣れないコースでしたね。

 そうしたコース設定においては、馬場さえ良ければ、やはり内を回った馬のほうが好走しているような気がします。ゆえに、逃げ馬が馬券圏内に残ることが多いですね。

 さて、今年のメンバーでまず注目すべきは、レッドレイヴン(牡4歳)です。

 2歳の秋には、厩舎の同僚コディーノ(牡4歳)とともに「クラシック候補」と言われた逸材です。デビューから3戦は、どのレースも衝撃的な走りを見せて、先々はコディーノよりもレッドレイヴンのほうが上にいくだろうと思っていました。距離が延びても良さそうでしたし、「ダービーでは面白い存在になるかもしれないな」と想像していました。

 ところが、ダービートライアルの青葉賞(2013年4月27日/東京・芝2400m)では、見せ場なく大敗(11着)を喫しました。その走りには、それまでの面影などまったくなくて、「これは、ダービーも無理だな」と感じました。そして実際、ダービー(2013年5月26日/東京・芝2400m)でも12着と完敗。そのレースぶりを見て、もしかすると「レッドレイヴンはこのまま終わってしまうのではないか」とさえ思いました。

 それから、レッドレイヴンが復帰したのは昨秋、1600万下の甲斐路S(2013年10月20日/東京・芝1800m)でした。夏場にどれだけ立て直しを図れたのか、はたしてかつての強さは復活するのか、注目して見ていました。

 結果は、2着。勝つことはできませんでしたが、以前のような"強いレッドレイヴン"の片鱗は見せてくれました。このレースぶりなら「(一度レースを)使った次は期待できる」と思いましたね。そのとおり、続く1600万下の美浦S(2013年12月8日/中山・芝1800m)では堂々たる走りで快勝。見事な復活を果たしました。

 ただ、この馬本来の能力はまだ出し切っていないと思います。2歳当時に受けた衝撃は、こんなものではありませんでしたからね。復帰3戦目の今回、本領を発揮してくれるかどうか、その走りから目が離せません。

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著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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