【競馬】ダービー馬輩出につながった、パカパカファームの転機 (3ページ目)
昼夜を問わず、長時間の放牧を実践するパカパカファーム。どんな季節でも例外なく、一年を通して常に馬が外で過ごせることを最優先に考えている。その結果、生産馬の質は年々良くなっているという。
長時間の放牧は、仔馬だけでなく、繁殖牝馬にも好影響をもたらした。牧場で働くスタッフによれば、「厚賀分場での放牧が増えてから、健康な仔が多く生まれるようになって、母馬の仔出しが良くなってきた」とのこと。放牧時間が長くなったことによる運動量の増加や、ストレス減少が、繁殖牝馬の出産をスムーズにし、生まれてくる仔馬の質を高くしてきたのかもしれない。
こうした経緯から、パカパカファームの拠点は現在、完全にこの厚賀分場に移った。今や、広い土地を使った馬づくりも、きちんと確立された。だからこそ、今年デビューの2歳馬やそれ以降のパカパカファーム生産馬には、より大きな期待がかけられている。
今後、厚賀分場の「効果」がどう表れるのか、とても楽しみだが、厚賀分場で育った馬の中から、すでにGIホースが誕生している。それが、まさしく厚賀分場の購入が完了した2009年に生まれたディープブリランテだ。
2012年の日本ダービー馬は、自身の走りで、新たな土地で育った成果を早速体現したと言っていいだろう。次回は、そのディープブリランテが誕生するまでのエピソードに迫る。
(つづく)
ハリー・スウィーニィ
1961年、アイルランド生まれ。獣医師としてヨーロッパの牧場や厩舎で働くと、1990年に来日。『大樹ファーム』の場長、『待兼牧場』の総支配人を歴任。その後、2001年に『パカパカファーム』を設立。2012年には生産馬のディープブリランテが日本ダービーを制した。
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