2013.08.04

【競馬】ダービー馬輩出につながった、パカパカファームの転機

  • 河合力●文 text&photo by Kawai Chikara

『パカパカファーム』成功の舞台裏
連載●第20回

ハリー・スウィーニィ氏がパカパカファームを開場したのは、2001年。以降、質の高い競走馬を着実に輩出してきた。そして、牧場運営が軌道に乗り始めた2006年、新たに土地を購入。この決断が、パカパカファームの生産を一段と向上させることにつながった――。


パカパカファームの馬たちは、昼夜、季節を問わず、広大な土地の中で放牧されて過ごしている。
 大樹ファーム、待兼(まちかね)牧場と渡り歩き、2001年にパカパカファームを開場したハリー・スウィーニィ氏。自身の念願であった日本での牧場経営は、総面積33ヘクタール(およそ東京ドーム7個分)の土地で、繁殖牝馬3頭からスタートした。

 それから、コンスタントに活躍馬を世に送り出し、開場から5年経った2006年には、繁殖牝馬の数も20頭を超え、生産馬など合わせて全体で90頭前後を管理するまでになった。そしてこのとき、それまで使っていた牧場とは別に、スウィーニィ氏は新たな土地を購入する。現在「厚賀分場」として使用しているものが、それだ。

 この「厚賀分場」を説明するうえで、欠かすことのできないものがある。それは、総面積150ヘクタール(およそ東京ドーム32個分)という広大さだ。それまで使っていた「本場」からは、約5倍の規模となった。

 スウィーニィ氏は厚賀分場購入の経緯を振り返り、「あの土地を手に入れられたのは、本当にラッキーでした」と語る。

「仕事であちこち移動しているときに、この場所をたまたま見かけました。あまりに素晴らしい土地だったので、次第に『ここを分場にできないか』と考えるようになったのです。そこで、思い切って持ち主の方に交渉し、2006年に土地の半分を、3年後の2009年にもう半分を譲っていただくことができました。確かに、資金はそれなりにかかりましたが、この土地の良さを考えれば、とてもリーズナブルなものでした」