2013.06.23

【競馬】小牧場オリジナルの飼料
「パカパカミックス」はこうして開発された

  • 河合力●文 text&photo by Kawai Chikara

『パカパカファーム』成功の舞台裏
連載●第17回

2001年にパカパカファーム(北海道新冠町)を開場したハリー・スウィーニィ氏。以来、彼は世界中の繁殖牝馬を集めるとともに、優秀な競走馬を育てるために必要なあらゆる要素において、試行錯誤を繰り返しながら牧場のレベルアップを図ってきた。そのひとつに、牧場オリジナルの飼料『パカパカミックス』の開発がある。

パカパカファームで開発された「パカパカミックス」。 日本時間の6月1日深夜、世界中のホースマンの注目は、競馬発祥の地イギリスで行なわれた第234回イギリスダービー(エプソム競馬場・芝約2400m)に集まっていた。この大舞台で断然の1番人気に推されたのは、7戦7勝のドーンアプローチ。同馬は、前走で日本の皐月賞にあたるイギリス2000ギニー(ニューマーケット競馬場・芝約1600m)を圧勝し、ここに挑んでいた。しかしこの無敗馬は、道中で激しく折り合いを欠いて、最下位(12着)という結果に終わった。

 馬群に沈む大本命馬を尻目に、世界の競馬界屈指の栄誉を手にしたのは、わずか2戦2勝のルーラーオブザワールド(母ラブミートゥルー)だった。父は、種牡馬としてヨーロッパで破竹の快進撃を続けるガリレオ。兄に、海外のGIを5勝したデュークオブマーマレード(父デインヒル)がいる超良血馬だ。キャリア不足という不安材料を克服し、イギリスダービーのタイトルを獲得できたのは、まさに一級の血がなせる技だろう。

 実は今、このルーラーオブザワールドの姉がパカパカファームにいる。その馬の名は、ソーインラヴウィズユー(父サドラーズウェルズ)。繁殖牝馬としてヨーロッパで過ごしていた彼女は、今年、「ディープインパクトの子を産ませたい」というオーナーの熱意により、海を渡ってパカパカファームにやってきたのだ。

 つまりパカパカファームは、イギリスダービー馬の姉を預かっていることになる。このようなことが実現するのは、当牧場の代表ハリー・スウィーニィ氏の豊富な人脈があるからに他ならない。彼は開場以来、単に「外国人だから」というひと言では説明できないほど、さまざまな人脈を作り上げて、牧場の発展に努めてきた。質の高い輸入繁殖牝馬がそろっているのは、その最たるものだ。

 そして、パカパカファームが独自で開発した飼い葉(馬の飼料)『パカパカミックス』も、彼のコネクションから生まれたもののひとつである。

「馬の餌(えさ)となる飼い葉は、当然ながら、強い馬を作るうえでとても重要なもの。牧場を始めてから、さまざまな国で見つけた良い飼い葉をブレンドして、ベストの物を探ってきました。母国のアイルランドをはじめ、オーストラリアやニュージーランドなど、たくさんの国の飼い葉を試してきましたね」(スウィーニィ氏)