有村智恵が振り返るパリオリンピック メダルを逃した山下美夢有の明暗を分けた「2打」 (2ページ目)
【ゴルフに関しては、私が厳しいから(笑)】
――お子さんにもゴルファーになって、そういう経験をしてほしいといった思いはありますか?
本格的にはやらせるつもりはないんですけど、本人がやりたいって言ったらやらせるかな。でも(子どもたちは)やりたいって言わないんじゃないかな。
――なぜでしょう?
ゴルフに関しては、私が厳しいから(笑)。「本格的にゴルフをやるならこれだけ練習しないといけないよ」って言っちゃうと思うんです。でも、何かスポーツをやりたいって言ってくれたら、やらせてあげたいなと思いますね。
――ゴルフはほかの競技に比べて練習時間も長いですもんね。
ゴルフは走るスポーツじゃないですから、練習時間も長いんですよね。練習だけで10時間近くやることもありますし、それに加えてフィジカルやメンタルのトレーニングなど、いろいろとやらなければいけないことがあります。
そして、どのスポーツでもそうだと思いますけど、体が資本なので、いろんなことを我慢する必要があります。オリンピック後に、選手たちが「(日本に帰ったら)何をしたいですか?」と聞かれて、今まで体のことを気遣って食べられていなかった「あれが食べたい」とか、「こういうことやってみたい」っていうコメントが多かったのは、制限があったことの裏返しですよね。
練習時間にだけ練習すればいい、ではなく、24時間365日、その競技のために人生を捧げないといけないので、(子どもから)「スポーツをしたい」って言われたら、私は24時間365日がスポーツのためにっていう考え方だから、たとえば子どもがお菓子を好きなだけ食べていたら、「それ、体のためによくなくない?」とか言っちゃうと思うんです。競技としてやるのか、遊びでやるのかで取り組み方も変わってくるのに、自分のほうがほどほどにできないんじゃないかなと思います(笑)。
――お子さんに挑戦してほしい競技はありますか?
体操とか水泳は小さい頃に経験させてみたいですね。
去年、(有村選手がウェア契約している)New Balance社のパーティーがあって、東京ヤクルトスワローズの青木(宣親)選手と村上(宗隆)選手が同じテーブルだったんです。当時私は妊娠中で、男の子の双子っていうのもわかっていたので、おふたりに「スポーツだったら何をさせたらいいと思いますか?」って聞いてみたんです。
そしたら、青木さんが「水泳と体操」とおっしゃってくださって。水泳は圧倒的に体力がつくし、肺活量もつけられる。体操は体のバランスがよくなるから、と。おふたりともがそうおっしゃっていたので、そう言われたら絶対に体操と水泳をさせたいって思いますよね。
――お子さんが何のスポーツをされるにせよ、有村親子に期待しています!
期待はしないでください! 期待されたら頑張っちゃうから、私が。絶対厳しくなると思う(笑)。
でも、自分自身もそうでしたけど、すべてを注ぎ込んで結果が出た時の快感っていうのは、どんな遊びよりも楽しくて、その快感を上回れないんです。遊ぶことももちろん楽しいんですけど、努力して結果が出るまでの過程で得られる、気持ちの高まりだったり、報われた時の達成感だったりは、全力を注いできた人じゃないと味わえないと思うので。とにかく、何かに一生懸命取り組むことは、一度は経験してもらいたいですね。
そして、スポーツに限らず、社会に出たら、何かに一生懸命取り組むと自然と自分でいろいろと考えるようになりますよね。私はゴルフを通してそれを経験させてもらったな、と感じています。
「有村智恵のCHIE TALK」 次回は9月3日(火)に更新予定
【Profile】有村智恵(ありむら・ちえ)
1987年11月22日生まれ。プロゴルファー。熊本県出身。
10歳からゴルフを始め、九州学院中2年時に日本ジュニア12~14歳の部優勝。3年時に全国中学校選手権を制した。宮城・東北高で東北女子アマ選手権や東北ジュニア選手権、全国高校選手権団体戦などで優勝。2006年のプロテストでトップ合格。2007年は賞金ランク13位で初シードを獲得した。2008年6月のプロミスレディスでツアー初優勝。2013年からは米女子ツアーに主戦場を移した。2016年4月の熊本地震を機に日本ツアーへ復帰。2018年7月のサマンサタバサレディースで6年ぶりの優勝を果たすなど、JLPGAツアー通算14勝(公式戦1勝)をあげる。
2022年に30歳以上の女子プロのためのツアー外競技「LADY GO CUP」も発足させた。
2022年11月に、妊活に専念するためツアー出場の一時休養を表明。2024年4月に双子の男の子を出産した。
◆インタビュー動画はこちらから
https://youtu.be/_179xTXAqG0
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