渋野日向子の米ツアーでの可能性を村口史子プロが分析。「彼女の最大の武器が再び輝き出した」 (3ページ目)

  • 柳川悠二●構成 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Kyodo News

"ここぞ"という場面で、意を決したら躊躇せずに打つ。その一打にかける集中力がとにかくすごい。勝負勘が冴え、決して逃げない。そういう姿勢が、渋野選手の最大の武器。新たなスイングがフィットし出して、その武器も再び輝き出したように思います。

 2019年、日本人選手として樋口久子さん以来となる、海外メジャータイトルの全英女子オープンを優勝。その時は、渋野選手は米ツアーで戦う権利を得ながら、それを放棄しました。

 しかしその後、米ツアーでもスポット参戦するなかで、自分よりもうまい選手、世界中のすばらしい選手たちを目の当たりにし、「アメリカに行きたい」と思うようになった。彼女の向上心、上昇志向が、こうした決断を促したのだと思います。

 そして、いよいよ今季はアメリカが主戦場となります。カギを握るのは、やはりアプローチでしょう。昨年は4月から6月にかけて長期の海外遠征を敢行しましたが、そこで苦しんでいたのも、アプローチでしたから。

 米ツアーを経験している上田桃子選手や申ジエ選手、テレサ・ルー選手などは皆、ロブショットがうまいですよね。つまり、高く、ふわりと上げるアプローチが米ツアーで戦ううえでは求められるわけです。

 ゆえに、彼女たちは手首やヒジを柔らかく使えています。一方で、渋野選手はややヒジをロックした状態でアプローチを打ちます。個人的には、もう少し手首やヒジを柔らかく使って打てるようになれば、さらによくなるんじゃないかなと思っています。

 ともあれ、アメリカでは練習場でも芝の上から打てますし、彼女の向上心があれば、問題ないでしょう。練習すればするほど、うまくなるだろうし、アメリカで通用するアプローチも体得していけると信じています。

 また、舞台がアメリカとなれば、時差もあるし、西海岸と東海岸では芝の違いもあります。長時間の移動や食事、言葉の問題もあります。ただ、そういったことも、彼女なら対応できると思っています。

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