【木村和久連載】東京五輪を見て、オリンピックにおけるゴルフの将来を考えてみた (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 男女とも丸4日間、毎日個々が5時間ぐらいのラウンドをこなします。最初の組のスタートから最終組まで見ていたら、朝から日暮れ前まで、ものすごく長い試合となります。

 実は1904年のセントルイス五輪の時、ゴルフは「他の競技に比べて、恐ろしく時間がかかる」と問題になったそうです。要するに、ゴルフはオリンピックに向いていない競技というレッテルを貼られ、以降100年もの間、何の改善も努力もしてこなかったんですね。

 ここはもう、今後のことも考えて、オリンピックバージョンの競技方法を考えてもいいのではないでしょうか。3日間、あるいは2日間競技にするとか、競技日程を短縮してもいいし、4日間でやるならサバイバル方式にして、最終日は20人ぐらいに絞るとか、魅せる競技としての工夫がほしいところです。

 あと、興味を引く演出として、エキシビションでニアピンコンテストなどをやっても面白いと思います。メジャーリーグだって、ホームラン競争をやってファンへのアピールを欠かしていませんからね。

(3)見た目にわかる面白いコースの活用
 海外メジャーのひとつ、オーガスタ・ナショナルGCで開催されるマスターズは、いつ見ても面白いですよね。

 誰もがコースを知っているのもありますが、多くのロングホールで、危険と隣り合わせにある状況で2オンを狙わせる設計になっているところがエキサイティングです。ショートホールも同様です。いくつかのホールは池が絡んでいて、狙いどころを絞っています。だから、面白いのです。

 そういうわけで、「コースが面白い」という情報はプレーヤーと同時に、見ている観客や視聴者も共有しないといけません。面白さや難易度が共感できるから、ゲームを見ていて興奮するのです。

 東京五輪の舞台となった霞ヶ関カンツリークラブは、綺麗な林間コースでしたが、素人目にはどれも似通ったホールにしか見えませんでした。何がどう難しいのか、テレビではなかなか把握できなかったと思います。

 日本の古い名門コースは、みんなそう。ですから、霞ヶ関CCを責める気は毛頭ないのですが......。

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