イ・ボミを復調に導いた出会い。「ゴルフ場に行くのが楽しくなった」 (2ページ目)

  • 金明昱●取材・文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

「とにかくしんどい時期でした。成績を残すことよりも、自分のスイングの感覚を取り戻すことに集中していました。コースの中では、あまりにも不安要素が多くて、『どうにか、スランプから脱出したい』という思いが強かった。そんな時に出会ったのが、イ・シウコーチでした」

 イ・シウ氏は、韓国でも指導力に定評があるコーチのひとり。現在の女子世界ランキング1位で、今季米女子ツアーの賞金女王になったコ・ジンヨンのコーチとしても有名だ。

 苦悩を続けるイ・ボミにとって、そのイ・シウコーチとの出会いが、間違いなく復調への分岐点となった。イ・ボミが言う。

「(イ・シウコーチから)とくに何かを具体的に教わった、ということでもないんです。シンプルに、スイングに関するアドバイスを受けながら、ひたすら打ち込んでいました。(イ・シウコーチからは)ワンポイントのアドバイスがほとんどで、細かいことは何も言われていません」

 イ・シウコーチのアドバイスが、イ・ボミにはうまくハマったのだろう。そこで、スイングに関する悩みが解消されると、気持ちにも余裕ができた。さらに、試合でも結果が出るようになり、よりポジティブな思考を持てるようになった。

「(イ・シウコーチに)教えてもらうと結果が出るので、ゴルフ場に行くのが楽しみになったんです。今までは、本当に嫌で、嫌で......。そんな私を見て、コーチも練習量や質をしっかりと調整してくれていました」

 かつて専属キャディーだった清水重憲氏は、「ボミは成績が出るたびに、気持ちが乗ってくるタイプ」と話していたが、事実、イ・ボミは試合で好成績を残し始めると、一段と調子を上げていった。

 7月の資生堂 アネッサ レディスから3試合連続でトップ10フィニッシュを飾ったイ・ボミ。精神的にも完全に落ち着きを取り戻すと、8月のCAT Ladiesでは単独3位となり、復活を予感させた。

 その後もコンスタントに結果を残し、所属先のトーナメント、NOBUTA GROUP マスターズGCレディースでは、柏原明日架と熾烈な優勝争いを演じた。結局、柏原に1打差及ばず2位となったが、今年最高のプレーができたことに、イ・ボミは満足気だった。

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