2019.12.10

石川遼が「どん底」から今季復活。
世界の頂点へ試行錯誤していること

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Kyodo News

 日本男子ツアーの最終戦、日本シリーズJTカップ(東京都)を制したのは、石川遼(28歳)だった。賞金王の可能性こそ、前週の時点でなくなっていたものの、シーズン3勝は今季ツアー最多で、生涯獲得賞金は10億円を突破した。

今季3勝目を挙げて、完全復活を匂わせた石川遼 首位と2打差の5位タイからスタートした最終日は、7バーディー、3ボギーの「66」でフィニッシュした。名物ホールとなる18番ショートホールをパーでしのげば優勝という状況にあったが、5番アイアンで放ったティーショットを右のラフに外し、そこからのアプローチを2mに寄せながら、パーパットを決め切れなかった。

 勝負は、ブラッド・ケネディとのプレーオフに持ち込まれた。

「最終戦ということもあって、(賞金ランキング1位の今平)周吾や、(同2位のショーン・)ノリスと優勝争いができていることが、純粋に楽しかった。72ホール目の18番で右に外した時点で、プレーオフは覚悟していました」

 勝負がつくまで、18番ホールで繰り返し行なわれるプレーオフは、パーをセーブし続けた両者が譲らずに3ホール目までもつれた。1ホール目も、2ホール目も、石川のティーショットは、本選の時と同様、右に流れ、寒さのせいか、いずれもショートした。

「プレーオフが決まって、同じホール、同じクラブ、同じ風の向きですから、必ずリベンジしようと思った。1ホール目(のティーショット)はいい感触で、ショットがピンを刺したと思ったんですけど、太陽(が逆光)でまったく(着弾点が)見えなかったんです。(キャディーに)訊くと、『右のバンカー』と言われて(苦笑)。そして、2ホール目も右に外して。身体が硬かったり、緊張もあったのかもしれない」

 3ホール目から、ピンがグリーン奥に切られた。これが、流れを変えた。

 クラブを4番アイアンに持ち替えた石川の、"3度目の正直"ティーショットは、ピン手前2.5mという絶好の位置につけた。ケネディが長いバーディーパットをショートしたあと、石川はこのバーディーパットを真ん中からねじ込んで、優勝を決めた。

「正直、『必ず勝てる』と思ってプレーはしていなくて、『チャンスはある』と自分に言い聞かせていた一日でした。勝てたことが、いまだに信じられない」