【木村和久連載】メジャー制覇へ。
日本人選手の効果的な海外戦略とは

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第233回

 今年の夏、渋野日向子選手が全英女子オープンに優勝し、日本人としては1977年の全米女子プロ選手権を制した樋口久子選手以来となる、メジャー制覇を成し遂げました。誠にめでたいことです。

 一方、男子は"世界のアオキ"こと青木功選手が1980年の全米オープンで2位、松山英樹選手が2017年の全米オープンで2位タイという成績を残していますが、いまだメジャー優勝を果たした選手はいません。

 レギュラーツアーではありませんが、2013年に井戸木鴻樹選手が全米プロシニア選手権で優勝しています。シニアとはいえ、トム・ワトソン、ジャック・ニクラウス、リー・トレビノらそうそうたる面々が歴代優勝者に名を連ねるメジャー大会ですので、とりあえず書き留めておきます。

 こうして歴史を振り返ってみても、渋野選手のメジャー優勝は42年ぶりの快挙。超人的かつ、伝説的と言えます。

 とにかくこれを機に、日本人のメジャー戦略&海外戦略を、素人目線であ~たら、こ~たら考えてみたいと思います。

(1)メジャーの"呪縛"
 強くなったら、本場の海外に行ってプレーする考えは、プロスポーツの世界では当たり前のこととなっています。そして、野球やサッカーであれば、海外のチームで試合に出て活躍すれば、大いに評価されます。けど、ゴルフだけ、なんかビミョ~な立ち位置で、それが成功なのか、失敗なのか、よくわかりません。

 松山選手は、日本の"最終兵器"みたいな存在で海外に進出。PGAツアーで通算5回の優勝を誇り、毎年ツアーのトッププレーヤーとして活躍しています。それを思えば、十分な成功を収めているのですが、メジャーでは全米オープンの2位タイ止まり。世間的な評価は、今ひとつのような気がします。

 なんかね、ここまで来たら"悲願のメジャー優勝"を果たせないと、引っ込みがつかない感じになっていますよね。ゴルフは個人競技なので、実力を量る尺度が優勝のみになってしまう――それが、大変なのです。

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