2018.10.03

懐疑的だった無名コーチの登用。
それでもタイガー・ウッズは復活した

  • 吉田洋一郎●文 text by Yoshida Hiroichiro
  • photo by Getty Images

「タイガーは終わった」

 昨春、40歳を過ぎて4度目の腰の手術を行ない、5月末に処方された薬などの影響下で車を運転して逮捕されたタイガー・ウッズ。その際、朦朧とした彼の姿を見て、誰もが失望した。そして、ウッズの復活には悲観的な声が大勢を占めた。

 しかし、今年1月にツアーに復帰したウッズは、3月のバルスパー選手権で2位タイ、続くアーノルド・パーマー招待でも5位タイと奮闘。その後、7月の全英オープンで優勝争いを演じて6位タイで終えると、8月の全米プロ選手権では2位に入って、着実に結果を残してきた。

 そうして、勝利への期待が高まるなか、フェデックスカップ・プレーオフ最終戦のツアー選手権で、見事な復活優勝を遂げた。

 頂点を極めた選手が、スキャンダルやケガなどによってどん底まで落ち、そこからまた這い上がる――ウッズの復活は、ゴルフ界だけでなく、世界のスポーツ史に残る”偉業”と言えるだろう。

 だが、ウッズのような華々しいカムバックは、稀(まれ)なこと。本来、かつて栄光を手にした天才が、その輝きを一度失ってしまうと、復活できずに終わることがほとんどだ。

 ゴルフ界で言えば、天才的なリカバリーショットで観客を魅了し、欧州ツアーの勝利数で歴代1位の記録を持つセベ・バレステロスや、ウッズと同世代で1998年にPGAツアーの賞金王となったデビッド・デュバルなどは、負傷などの影響もあって深刻なスランプに陥って、30代後半にはツアーの表舞台から姿を消した。

 では、なぜウッズは復活できたのか。