イ・ボミを襲う「負のスパイラル」。苦しむ女王に何が起きているのか (4ページ目)
今年の8月には30歳となるイ・ボミ。精神的にも、体力的にも、絶頂期はすでに過ぎているだろうが、多くのファンが"強いイ・ボミ"の復活を見たいと思っている。そして、イ・ボミには「その期待に応えたい」という強い気持ちがある。
振り返れば、昨季のツアー1勝、賞金ランキング23位も、ひとりのプロ選手としてみれば、決して悪い成績ではない。だが、その成績に一番納得していないのは、イ・ボミ自身だった。その前が2年連続賞金女王だったという自負もあるだろうが、それ以上に「ファンの期待に応えられなかった」という忸怩(じくじ)たる思いがあったからだ。
そんな周囲の期待に応えようとする思いが、今の彼女にはプレッシャーとなっているようにも映るが、逆にそれを力に変えて、復調を遂げてほしいとも思う。
イ・ボミが練習を終えて、車でゴルフ場を後にする帰り際、こんな質問をしてみた。
――勝負に対する欲や、「絶対に勝たないといけない」という気持ちは今、どの程度ありますか?
イ・ボミは笑顔を浮かべながら、こう答えた。
「今は、そういうことを語る段階ではありません。私自身が自分に負けず、試合を諦めることなく、必ずよくなるという意地を持つこと。そうしたことが、今は大切だと思っています」
女子ツアー屈指のショットメーカーと言われたイ・ボミ。その正確無比なショットが再び見られる日が来ることを、今はゆっくりと待ちたい。
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