【木村和久連載】逆光のコースに遭遇したら、どう対処すればいいか (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 テレビでプロのトーナメントを見ていると、逆光の中、果敢に打っている選手が結構たくさんいます。プロだから当然ですが、むしろ有名な試合でも「逆光コースがあるんだ」と、そっちに驚いてしまいますね。

 なんでそんな話をするのかというと、なんと有名設計家の井上誠一設計のコースには「逆光コースがない」と言われているからです。その話を聞いて、かつてメンバーだった同氏設計の鶴舞カントリー倶楽部(千葉県)では、「そういえば、逆光コースに会ったことがないなぁ」と。

 これは案外本当かも、と思っていろいろと調べてみたら、井上先生は札幌ゴルフ倶楽部設計(1958年開場)の頃から、逆光コースをナシにしているとか。太陽の向きを通年で調べ、クラブハウスを北側に配置し、コースは東南の温暖な傾斜地に置くのを理想としたとか。

 逆光になるのは朝日から夕日まであって、しかもコースはアウトとインがありますから、それをナシにするなんて、かなり難しいことだと思います。しかし、いかに逆光にならないようなレイアウトを組むか、井上先生はきちんと計算していたそうです。

 もちろん、例外はありますよ。「あそこは逆光じゃん!」とか突っ込んだらキリがないですから。

 井上誠一設計のコースでも、何十年も経てば、木を切ったり、伸ばしたりと景観が変わります。他、アウトとインを入れ替えたり、改造したりもあるので、全部が全部、逆光がないというわけではありません。そこは悪しからず。

 何はともあれ、井上先生の設計理念は素晴らしいじゃないですか。

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