「何も変わっていない」という菊地絵理香。ではなぜ強くなったのか (5ページ目)

  • 古屋雅章●文 text by Furuya Masaaki
  • photo by Getty Images

 そう語った菊地。では、例えばどういうところで「厳しい」と思うのだろうか。

「まず、飛距離ですよね。今の女子ツアーは、トータルの距離も伸びていて、パワーゲームのような面が強く出てきています。例えば、ティーショットを飛ばせれば(2打目は)フラットなところから打てるけど、その手前になると(2打目が)左足下がりになる、ということがある。つまり、10~20ヤード(ティーショットの)飛距離が違うことで、(2打目で)ピンを狙える、狙えないということになって、そこでスコアが2打も変わってしまうんです」

 だとすれば、練習では飛距離アップに重きを置くべきでは? そう考えるのが普通だろう。ゆえに、菊地もそのための努力は少なからずしている。オフにはハードな筋力トレーニングを消化。その結果、「今季は飛距離も伸びている」と川口キャディーは言う。

 実際、5月のワールドレディスチャンピオンシップ・サロンパスカップで測定されたLPGA公認のドライビングディスタンスにおいて、菊地は総平均243.9ヤードを記録。全体の17位だった。233.0ヤードで53位だった一昨年と比べれば、かなり飛距離はアップしている。

 しかし今、菊地はドライバーの飛距離を伸ばすことを第一に考えるより、まずはウエッジの確実性を高めるほうを選んだ。菊地と川口キャディーふたりの論理的な分析によって、それこそが結果を出すための早道だと判断したからだ。

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