【男子ゴルフ】松山英樹の崩壊をもたらした、オーガスタの「罠」の正体

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

マスターズ最終日、大きくスコアを崩した松山英樹は通算9オーバー54位タイに終わり、2年連続のローアマも逃した。マスターズ最終日、大きくスコアを崩した松山英樹は通算9オーバー54位タイに終わり、2年連続のローアマも逃した。 松山英樹の目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。

 最終18番ホールを終えてテレビのインタビューをこなし、その後、現地メディアのインタビューに答えて、日本人記者の囲み取材が始まった直後だった。

 ひと言も発することなく、突然、左手の親指と人差し指で目頭を抑えた。抑えても、涙があふれ落ちた。言葉が出ない......。そして、軽く会釈して、いったんクラブハウス内に駆け込んだ。

 驚いたのは、囲んでいた日本人記者たちだった。一瞬、何が起きたのかと呆気にとられていた。

 数分後、松山が姿を見せた。
「すいませんでした......」

 松山は、悔しさを隠し切れなかったのだ。

 初日は71の1アンダーで回り、14位タイと好位置につけ、2日目は74とスコアを落としたものの、通算1オーバーの31位タイで見事に予選通過した。マスターズが始まる前に設定していた3つの目標のうち、ひとつ目は難なくクリアした。

 次の目標は、ローアマ(ベストアマ)だった。2日目が終わった時点で、アマチュア2位のパトリック・カントレーに4打差をつけていた。さらに3日目、72のパープレイだった松山は、全体で27位タイ。アマチュア部門ではもちろん1位で、カントレーには6打差と、その差を広げていたのである。

 そして、3つ目の目標である、16位以内を狙うにも好位置につけていた。最終日、2アンダーで回れば、通算1アンダーになる。それは、十分に16位以内に入れるチャンスがあるスコアだ。松山の実力ならば、不可能ではない数字だった。

 しかし、ともに実現できずに終わった。

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