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シメオネ流「選手たちの士気を上げるマネジメント」 叩き上げで身につけた「闘争は裏切らない」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

【「弱みは絶対に見せない」】

 しかし、ジョアン・フェリックスには気分屋なところがあり、常に戦う姿勢が求められるチームでは孤立した。1試合はスーパーゲームをやってのけても、次の試合は別人のように消えてしまった。守備でポジションに戻ることも忘れ、プレスも緩慢になって、チームプレーができなかったのである。

 シメオネにはそんな選手を優しく取り込む大らかさはなかった。戦う選手として「失格」の烙印を押した。ほとんど排除に近い形で放出したのである。

「敵には水(のペットボトル)も渡すな」

 シメオネはルーキー時代、元アルゼンチン代表監督のカルロス・ビラルドにピッチでの心得を教わったという。アルゼンチンにおける勝利とは、泥を啜っても手にすべきもので、敵には一切の情けをかけない。味方は勝利のために団結するもので、闘志が基準なのだ。

 シメオネは自らの物差しをこう説明している。

「選手は、チームのフラッグやカラーに所属意識を強く感じてプレーすべきである。そこで我々監督の仕事は、選手に遠くを見させるのではなく、"1試合1試合を全力で戦う"ということを思い知らせることにある。まさに、明日をも知れぬ戦場に立つ心意気だ」(以下、コメントは、すべて『欧州サッカー 名将への挑戦状』<東邦出版、ヘスス・スアレス/小宮良之 共著>より)

 シメオネは、アルゼンチン代表を率いたビラルド、アルフィオ・バシーレ、マルセロ・ビエルサ、そしてラツィオを率いてスクデットを獲得したスベン・ゴラン・エリクソンの影響を受けており、「バシーレは、視線の送り方だけで選手の士気を上げることができた」と振り返っている。長い現役生活を通じ、学び取る姿勢を忘れなかったが、やはり内からの衝動が彼の本性だろう。

「多くの優れた指導者に巡り会えたことは幸運だったが、自分には自分のフィロソフィーがある。たとえば、闘争は裏切らない、と私は信じている。自分の人生がそうだったから、弱みを見せることは絶対にしない」

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