メッシ代表引退試合の相手はなぜベナンなのか 美しいお別れの裏にある生々しいマネーの現実 (4ページ目)
【値札をつけられたメッシへの愛】
相手がベナンならば、強豪国を呼ぶための大金を支払う必要もない。テレビ放映も世界約60カ国で行なわれるという。おかげでこの1試合だけで1500万ドル(約23億円)を超える収入を生むと推定されている。メッシに対する協会の愛は本物だ。しかし、その愛には巨大な値札もつけられたのだ。
スタジアムに入れなかったサポーターのためには巨大スクリーンで試合が中継されるファンフェスタも用意される。名前はFan Fest Gracias Leo――「ファンフェスタ『ありがとうレオ』」。美しい名前だ。ただし、こちらもただではない。3万ペソ(約3000円)を払わなければいけない。メッシに別れを告げるためには、スタジアムの外でもチケットが必要なのだ。
メッシはこの日、アディダスが用意した特別ユニフォームを着る。アルゼンチン国旗を縦に配し、中央にソル・デ・マヨ(五月の太陽。アルゼンチン国旗に描かれている)をイメージした模様と黄金の背番号が入っている。メッシ本人もSNSでデザインを発表し、そこには「最後の試合。すべての人生が詰まった1枚のユニフォーム」のメッセージ。価格はオーセンティックモデルが約4万3000円、レプリカモデルが約3万円。9月25日に世界同時発売され、ほぼ完売状態だ(日本でも完売したという)。
試合の前には人気アーティストのコンサート。試合後にはメッシへ記念プレートが贈呈され、本人のスピーチもあると言われている。完璧すぎるほどのショーだ。
一方、この華やかな「ラストダンス」の裏側には、まったく違う現実があった。対戦相手への扱いだ。
ベナン代表はブエノスアイレスまで、エコノミークラスを利用した23時間を超える長旅を強いられ、選手たちは疲労困憊でやって来た。チームのビデオアナリスト、ジョナス・ビデ氏は疲労から一時意識を失ったという。到着後も問題は続いた。AFA側が用意したホテルでは一部の階で温水が出ず、サウナは使用不能。ジムにはランニングマシンがわずか2台しかなかった。練習も十分な環境とは言えない人工芝のピッチで行なわざるを得なかった。
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