メッシ代表引退試合の相手はなぜベナンなのか 美しいお別れの裏にある生々しいマネーの現実 (3ページ目)
【なぜ対戦相手がベナンに?】
この期間中に、アルゼンチンはボリビア、ブルキナファソ、ベナンと3試合を行なうが、ベナン戦だけにメッシが帰ってくる。試合には、ゲストとしてアンヘル・ディ・マリアをはじめとした2022年ワールドカップ優勝メンバーとその家族も招待されている。
メッシは10月2日に代表チームに合流。練習を終えたその日の夜には、仲間たちとアサード(アルゼンチン風バーベキュー)を楽しんだ。肉を焼き、仲間と食卓を囲む。大切な時にはいつも繰り返してきたアルゼンチン代表の儀式だ。ただし、今回はより特別なものだっただろう。メッシと仲間たちとの「最後のアサード」になるかもしれないのだから。
ちなみに、メッシにはかつて代表引退宣言から47日後にそれを撤回した前例があるため、なかにはメッシがもう一度代表に戻るのではという期待を持っている者もいる。たとえばサンロレンソのルベン・ダリオ・インスア監督は、メッシに2030年のワールドカップまで代表を続けてもらおうという運動を呼びかけている。しかし、今のところメッシの代表復帰を示す具体的な兆候はない。
さて、ここまでならメッシとアルゼンチン代表のとても美しい物語だ。問題はその先にある。
なぜ、メッシほどの選手の最後の代表戦の相手が、ブラジルでもスペインでもフランスでもなくベナンなのか。ベナンはFIFAランキング89位のアフリカの代表チームである。
もちろん、現実的な理由はあるだろう。10月の国際試合期間に強豪国との日程を調整するのは簡単なことではない。だが、もうひとつ、よりわかりやすい理由がある。欧州や南米の強豪を招待すれば、それなりに高額な費用も発生する。しかし、メッシの引退試合ともなれば、相手がどこであろうとチケットは争奪戦になる。実際、チケットは9月24日の発売開始から75分足らずで完売。価格は9万~48万ペソ(約9000円~5万円)だった。アルゼンチンの平均月収は11万円程度だから、決して安くはない。それでもスタジアムは超満員になる。AFAにとってはこれほど確実な興行はない。
3 / 5

