検索

【ワールドカップ】39歳、メッシが常識の範囲を超える活躍を見せるわけ 7試合連続、通算19ゴール...価値に衰えなし (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Masaki Asada

 とはいえ、冒頭に記したとおり、さすがのメッシも39歳。ベテランを評するときに、よく「衰え知らず」という表現が用いられるが、現実的には衰えは隠せない。

 もともと90分を通してほとんど走らない選手だったのだから、運動量が大きく低下することはないにしても、ドリブルにしろ、フリーランにしろ、単純に加速力が落ちたと感じるシーンは多い。

 体の動きにも往時のキレは失われ、かつてなら瞬間的に相手選手の逆を取ってかわしていたであろうシーンでも、ボールを失うことが目につくようになった。

 だがしかし、得点できる空間に入っていく嗅覚と、落ちついてフィニッシュするシュートテクニックは、相変わらず頭抜けている。

 まさにゴールへ向かってパスするかのように、さりげなくシュートを流し込む。あの落ちつきと正確な技術は、他はそうそう真似のできないものだ。

 と同時に、メッシをメッシたらしめる、アルゼンチン代表も大したものだ。

 メッシは1試合の大半を歩いて過ごし、瞬間的に攻撃に加わるだけで、ほぼ守備はしない。それでも、誰よりも点を取ってくれるから、彼にボールを渡す価値がある。

 たとえば、グループリーグ2戦目のオーストリア戦での2ゴールは、いずれも中盤でボールを持ったメッシが、一度味方にパスをさばいてから、自らゴール前へ入っていって決めたものである。

 味方の選手たちは、メッシがどこに動くのかを見逃さず、得点できるポイントに入ってくるのを待っている。言い換えれば、アルゼンチン代表は、常にメッシに点を取らせようとしているのである。

 言うまでもないことだが、メッシに得点王を取らせようとしているとか、記録を更新させてやろうとしているとか、個人の名誉を優先しているという意味ではない。

 あれだけ優れたフィニッシャーがいるのだから、それを生かさない手はない。勝つためにはどうするのが最善かを、アルゼンチン代表の選手たちは、よくわかっているということだ。

 オーストリア戦の先制ゴール。ティアゴ・アルマダはゴール前に走り込むと、左サイドからのクロスをスルーした。

 その背後に走ってきていたのが、メッシだった。

 いかにフリーとはいえ、それほど簡単なシュートではなかったはず。しかし、落ちつき払った背番号10は、いともたやすくゴール左に柔らかなシュートを流し込んだ。

 思わずため息がもれる、職人技である。

 得点力不足に悩んでいないチームなど、世界中を探してもひとつもないというほど、サッカーで一番難しいのは、点を取ることだ。

 だから、メッシは何歳になっても価値がある。

 最も難しい役目を難なくこなす。そこに衰えは見られない。

フォトギャラリーを見る

2 / 2

  • Googleで優先するソースとして追加

Googleの「優先ソース」について

キーワード

このページのトップに戻る