中田英寿からの労いの言葉で、全身の緊張が一瞬にして溶けた 親しい人には「すごく人懐っこい」一面も (2ページ目)
【彼は決して人の批判をしなかった】
「彼が今まで築いてきたものとか、性格的なものとか、日本での報道のされ方などを考えると、すごく閉鎖的な人間というイメージが強いのではないでしょうか。実際はそんなことはなくて、本当の彼はすごく人懐っこい。私の子どもたちとも、すごく仲がいいのです」
ジョバンニ・ブランキーニは、そう言ってエスプレッソのカップを口に運んだ。ドイツワールドカップ後の2006年9月に、ミラノ・カドルナ駅近くのカフェで彼と会った。中田やロナウド、リバウド、ルイ・コスタやカフーらのワールドクラスを顧客としたこの大物代理人は、とても紳士的な対応で僕と通訳を迎えてくれた。
「彼は所属したどのチームでも、関係者やファンに愛されていました。なぜなら、わがままを言うことはないし、ルールをきちんと守るし、練習には一番に姿を見せるからです。そういった姿勢が、周囲から高い評価を受けていました。
ただ、仕事の世界では文句なしにすばらしいのですが、自分の生活と仕事上のつながりを、あまりミックスさせないところがありました」
ブランキーニはそう言って肩をすくめた。「これはもう仕方がない」といった感情を表わしているようだった。
「ヨーロッパでは、仕事もプライベートもすべてをひっくるめて、友だちとして付き合うようなところがあります。そのため、サッカーから離れると自分の時間を大切にする彼の姿勢が、悪いように報道されてしまうこともありました」
ブランキーニはもう一度、肩をすくめた。先ほどとは違うニュアンスが、込められているように見えた。
「私自身は、彼のプロフェッショナルな姿勢にいつも感銘を受けていました。彼は自分の置かれている立場をきちんと理解していて、決して人の批判をしません。『ジーコはこうすればよかった』といったことは、一度も聞いたことがありません。パルマでなかなか試合に出られなかった時も、監督の(チェーザレ・)プランデッリを否定するような話は一度もしていません」
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