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【プレミアリーグ】クリスマスで首位のチームは過去33季で17度の優勝 アーセナルが「3度目の正直」なるか (2ページ目)

  • 文●ジョン・ブルーウィン text by John Brewin 翻訳・構成●井川洋一 translation by Yoichi Igawa

【「様々な状況に対処できたから、ここにいる」】

 重厚になった選手層のおかげで、今季序盤にカイ・ハバーツとマルティン・ウーデゴールが負傷離脱しても、昨季の同じ頃のような痛手にはならなかった(昨季はそれもあってリバプールのスタートダッシュを許した)。事実、11月8日の第11節が始まるまでに失ったポイントはわずかに5。

 だが、ウィリアム・サリバとガブリエウ・マガリャンイスのふたりの主力センターバックが戦列を離れたのは痛かった。最後に二人が揃った第11節でサンダーランドと引き分け、第13節のチェルシー戦もドロー、第15節ではアストン・ビラに1-2と惜敗している。

 その後に2連勝し、17試合を終えて勝点39の首位でクリスマスを迎えた。ただし12試合を終えた時点では後続に7ポイントをつけていたが、現在は2位のシティと2ポイントしか差がない。

 過去33シーズンのプレミアリーグで、クリスマスを首位で終えたチームが優勝したケースは17回ある。アルテタ監督が率いるアーセナルはこれまでに2度、そのポジションにいたことがあるが、どちらもリーグ制覇を逃した。今季、3度目の正直となるか。

「もちろん、今後に困難はあるだろう。ただ我々は様々な状況に対処できてきたから、今この場所(首位)にいるのだ」

 クリスマスに入る前の12月20日のエバートンとのアウェー戦(1-0の勝利)後、アルテタ監督はそう話した。指揮官は自信を維持しているように見える。

 アルテタ監督はグアルディオラの弟子とも言える。だが、先達よりもデータを重視し、セットプレーやロングスローを積極的に採用する。フランス人のセットピース・スペシャリスト、ニコラス・ジョヴェルを雇い、ユリアン・ティンバーのロングスローをガブリエウ・マガリャンイスの頭に合わせる形が、大きな武器になっている。むろん依然として、巧みにパターン化されたようなショートパスの崩しも得意だ。

 シティのグアルディオラ監督はそうしたトレンドや直線的な攻撃を好まず、あくまで創造的なスタイルを続けている。ただし、同胞の弟分には敬意を示す。9月下旬にアーセナルとシティが1-1のドローに終わった後、グアルディオラ監督は次のように話した。

「ミケルは実に有能な指揮官だ。信じ難いほどに素晴らしい選手を揃え、強力なチームを築き上げている。現在、欧州で最もタフな相手のひとつだ。月日を重ね、移籍マーケットを経るごとに、彼らは強くなっている」

 アストン・ビラのウナイ・エメリ監督も、同じくバスク出身のアルテタ監督を称える。

「アーセナルではアルテタの求める高いスタンダードに、選手たちがしっかり答えている。すごいレベルだよ」

 ただしこの発言は、アストン・ビラが後半追加タイムのエミリアーノ・ブエンディアの決勝ゴールでアーセナルに劇的な2-1の勝利を収めた後だ。エメリはアーセナルで成功できず(2018-19シーズンに就任するも成績不振で2年目に途中解任)、その後任にアルテタが就いたわけだが、2025年12月6日のビラパークではエメリに軍配が上がった。

 アーセナルは続くウォルバーハンプトン戦を終了間際の相手のオウンゴールで制し(2-1)、エバートンにはギョケレスのPKで競り勝った(1-0)。華のない連勝は、強者の証か、それとも......。

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