【プレミアリーグ】マンチェスター・シティのドクが「動作が多すぎる」独特のフェイントで覚醒 チーム戦術でプレーの幅も広がる (3ページ目)
【ドクを生かすベルナルド・シウバの深謀遠慮】
ドクは当然のごとくマン・オブ・ザ・マッチに選出されたが、グアルディオラ監督はベルナルド・シウバを称賛していたという。攻守にインテリジェントなプレーぶりだったからだ。
おそらくそのひとつはベルナルド・シウバのプレスの仕方ではないかと思われる。コナテへプレスに出ていたのはフォーデンよりもむしろベルナルド・シウバだった。相手の右CBへのプレスなら、左インサイドハーフのフォーデンのほうが近い。それをわざわざ右インサイドハーフのベルナルド・シウバが行っているのは不自然とも言える。
ベルナルド・シウバがコナテへプレスするなら、右ウイングのラヤン・シェルキへ相手MFのマークを受け渡すことになる。するとリバプールの左サイドバック(SB)がフリーになるが、そこはシティの右SBマテウス・ヌニェスが一気に前進して捕まえるという段取り。
ここでポイントになるのはすでにハーランドがファン・ダイクをマークしているということだ。コナテからファン・ダイクへのパスはない。したがって、リバプールの左SBへのパスルートはコナテからの長いダイアゴナルパスしかなく、コナテがそのパスを試みる確率は低いとベルナルド・シウバは考えたのだろう。
ベルナルドがコナテへプレスすれば、シティの左側はマークの受け渡しが発生しない。コナテがサイドチェンジのパスをしないのであれば、相手を捕まえきった状態の守備になる。
さらに、ドクは得意の左サイドのまま守備ができる。右のシェルキはむしろ中央でプレーするタイプなので、ドクとシェルキをプレーしやすい場所に置くことができる。
そう考えると、ベルナルドの守備時の不自然に見える動き方は非常に行き届いた深謀遠慮であって、ドクの大活躍とライバルに対しての完勝を陰で支えたのはベルナルド・シウバと言えるかもしれない。
著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。
【画像】マンチェスター・シティほか 2025-26 欧州サッカー注目クラブ 主要フォーメーション
3 / 3






















