レアル・マドリードに早くも不可欠なディーン・ハイセン ビッグクラブで若いCBが活躍するのはなぜか (3ページ目)
【ビッグクラブ向きの攻撃力】
ハイセンはアムステルダム生まれ、5歳でスペインへ移住した。マラガのアカデミーに所属していたが、16歳の時にイタリアのユベントスのユースへ移籍している。すでにいくつかのビッグクラブに注目されていたハイセンがユベントスを選択したのは、ジョルジョ・キエッリーニ、レオナルド・ボヌッチといった経験豊富な職人的CBの存在が大きかったからだそうだ。
ユベントス・ネクスト・ジェネレーションというリザーブチームでプレーした後、18歳でトップチームと契約するが1試合しか出場していない。ローマに貸し出され、13試合プレーしてプレミアリーグのボーンマスへ移籍した。移籍金は1800万ユーロ(約30億円)と言われている。
ボーンマスでは32試合に出場。完全に中心選手として活躍しリーグ9位に貢献。そして次のシーズン、つまり今季からレアル・マドリードへ。移籍金はわずか1シーズンで5950万ユーロ(約102億円)に跳ね上がっていた。
移籍早々、クラブワールドカップではレギュラーポジションを確保。ラ・リーガ開幕後もCBとして堂々の先発である。ダビド・アラバ、エデル・ミリトンの負傷離脱という事情はあったにせよ、レアル・マドリードでレギュラーを張れるCBを手放してしまったユベントスは後悔しているに違いない。
身長197センチ、空中戦は強い。長いリーチを利してのタックル、的確な読みによるカバーリングも魅力だが、なんといってもハイセンの特徴は配球能力だ。右利きだが左足も自由に使える。撤退守備の手前を制圧しつつ、ブロック内へ躊躇なく正確なパスを差し込んでいく。FWの足下へスパッと入れる低いパスだけでなく、ふわりと浮かせるパスもうまい。
ほとんどの試合でボールを支配できるビッグクラブにとって、攻撃能力の高いCBは不可欠で、ハイセンはうってつけの逸材だった。
アンダー世代はオランダ代表だったが、ネーションズリーグのオランダ戦でスペイン代表デビューし、生まれた国のファンから盛大なブーイングを浴びた。18歳のクバルシとのコンビが定着する日もおそらくそう遠くないだろう。
プロデビューして3シーズン目だが、経験不足という感じはまるでしない。ベテランのような風格さえ漂う。たまに雑に対応してかわされる、裏をとられた時のスピードに難もあるとはいえ、攻撃力は弱点を補って余りあり、早くもレアル・マドリードに不可欠な存在になりつつある。
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著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。
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