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レアル・マドリードに早くも不可欠なディーン・ハイセン ビッグクラブで若いCBが活躍するのはなぜか (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【プレーメーカーとしてのCB】

 ゴールキックからのビルドアップは、現在およそどのチームでも行なうようになっている。だが、以前からそうだったわけではない。ここまで浸透したのはこの5~10年ほどで、それ以前はゴールキックは遠方へ蹴るものだった。

 ゲームの形が変われば、それに応じて必要な選手も変わってくる。まずはビルドアップで相手のプレスを外す能力のあるCBが必要になった。これはGKも含めて後方の選手すべてがそうである。現在、CBに求められている能力はその先だ。

 ビルドアップに対してハイプレスで奪えないと悟ると、相手は自陣に撤退して守備ブロックを形成するようになった。かつてよく使われた「バスを置く」という守り方だ。バスを置くという表現には批判的な意味が込められていたものだったが、今はそれが普通になっている。

 カットインでバイタルエリアへ潜り込んでくる強力なウイングに対して、中途半端に守っても意味がない。そこでカットインのコースを遮断すべくふたりがかりの「ダブルチーム」が採用されていて、さらに逆のウイングへのサイドチェンジへの対抗措置として5バックも一般的になってきた。撤退守備は5-4-1、あるいは5-5という形で行なわれている。

 かくして撤退守備を崩して得点するのは難しくなっているが、「バス」の手前には広大なスペースが生まれた。ブロック内に進入するのが難しくなったかわりに、ブロックの手前まで運ぶのは容易になったわけだ。

 ここでCBの仕事が変わってきた。ブロックの手前までボールを運び、ブロックの中へ有効なパスを通す能力が問われている。つまり、ゲームメイクの仕事は今やMFからCBにシフトしている。これは以前のCBにはほとんど求められていなかった資質であり、そのため若い才能が台頭しやすい状況になっていると考えられる。

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