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【プレミアリーグ】アーセナル伝説の「無敗チーム」を上回る完成度 穴のない補強で22年ぶりの優勝に再接近 (3ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【無敗優勝を成し遂げた選手たち】

 1990年代の後半から10年間ほど、アーセナルは常に優勝候補だった。マンチェスター・Uの後塵を拝するシーズンが多かったとはいえ、当時のプレミアリーグは彼ら二強が中心だった。そして2003-04シーズンのアーセナルは、驚異的なチームだった。

「インビンシブルズ(無敵チーム)」と評され、リーグ戦の成績は26勝12分の無敗! 2位チェルシーに11ポイント、宿敵マンチェスター・Uには15ポイント差の圧勝だった。快挙、偉業、奇跡......無敗優勝を的確に表現する言葉はこの世に存在しない。

 GKは名手イェンス・レーマン、DFには頑健な肉体で相手FWを駆逐したソル・キャンベル、さらに史上最高クラスの左サイドバックであるアシュリー・コール。

 中盤は黙々とハードワークをこなすジウベルト・シウバ、強靭な運動量と加速力を武器とするフレドリック・ユングベリ、狡猾と華麗な技巧を併せ持つロベール・ピレス、圧倒的な存在感を放つパトリック・ヴィエラ。みんなギラギラしていた。

 そして2トップは、魔法のようなトラップを操るデニス・ベルカンプと、大エースのティエリ・アンリである。さらにセスク・ファブレガスは卓越したパスセンスで、ヌワンコ・カヌは柔軟な足技で、シルヴァン・ヴィルトールは泥臭い攻守で、アーセナルの無敗優勝に貢献した。

 今シーズンのメンバーは、あの2003-04シーズンに勝るとも劣らない、いやいや、上回っている。選手層はプレミアリーグで最も充実しており、完成度もトップクラスだ。

 ローテーションをあまり好まないアルテタ監督が考え方を改め、主軸を担うサカとライス、ウーデゴール、サリバ、ガブリエウ・マガリャンイスのスケジュールを徹底的に管理すれば、昨シーズンのように終盤で息切れはしない。

 無敗優勝から21年、そしてFAカップ制覇から5年が経過した。サポーターはタイトルを渇望している。攻守ともに優れたタレントを揃えた今シーズンに、これまでにない手応えをつかんでいるはずだ。

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