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【プレミアリーグ】アーセナル伝説の「無敗チーム」を上回る完成度 穴のない補強で22年ぶりの優勝に再接近 (2ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【今夏の市場に510億円を投入】

 今季のアーセナルは十二分に熟されたメンバーに、右サイドバックとセンターバックを高度にこなすモスケラ、世界屈指のアンカーといわれるスビメンディ、待望久しい9番タイプのギェケレシュを加えた。メディアやOBが「補強すべきポジション」と訴えていたピースはすべて埋まったといって差し支えない。

 これらの大仕事をやってのけたのが、ノッティンガム・フォレストに去ったエドゥに代わってスポーツディレクターに就任し、今オフの移籍市場を仕切ったアンドレア・ベルタだ。

 スビメンディを手に入れるまで長いプロセスを要し、ギェケレシュの獲得にもスポルティングの揺さぶりに苦戦したが、その他の交渉は比較的スムーズにまとめている。マンチェスター・ユナイテッドはブレントフォードからブライアン・ムベウモを獲得するまで45日もかかった。なんてこったい。

 また、ベルタの交渉を後押ししたスタン・クロエンケ(オーナー)の積極的な姿勢にも触れなければならない。加入間近とされるエゼの契約解除金を含め、今夏の市場に3億ユーロ(約510億円)を投入。各ポジションにふたりの実力者を揃える充実したスカッドは、オーナーのアシストによって誕生した。

 もちろん、昨季王者のリバプールも手強い。今夏の補強費は4億ユーロ(約680億円)を超える勢いだ。しかし、この補強は性急すぎやしないだろうか。

 MFフロリアン・ヴィルツ(前レバークーゼン)、DFミロシュ・ケルケズ(前ボーンマス)、DFジェレミー・フリンポン(前レバークーゼン)、FWウーゴ・エキティケ(前フランクフルト)、加入濃厚とされるFWアレクサンデル・イサク(ニューカッスル)の実力は認めるものの、一朝一夕にして周囲との連係は整わない。主戦格の半数が入れ替わるのだから、攻守のリズムが整うまでに時間が必要だ。

 一方、チェルシーとマンチェスター・シティは、クラブワールドカップの疲労が数カ月後に訪れるだろう。マンチェスター・Uは若手が台頭しているものの時期尚早だ。よって、アーセナルこそが優勝候補の最右翼である。

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