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【プレミアリーグ】三笘薫のステップアップ移籍は焦るべからず 開幕時はブライトンでプレーしたほうがいい理由 (3ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【たとえばマンCに移籍したら...】

 そしてブライトンからステップアップするのなら、世界でも名が知れた強豪に限られる。

 噂どおり、ルイス・ディアスがバルセロナあるいはバイエルンに移籍すれば、リバプールは左ウイングが手薄になる。マンチェスター・シティもこのポジションは選手層が厚くなく、アトレティコ・マドリード、高井幸大が加入したトッテナム・ホットスパーも、左ウイングはパワーアップが必須とされている。

 ヨーロッパ主要リーグの移籍市場は9月1日まで開かれ、奇々怪々な動きはまだまだ続く。「今夏は残留」と三苫の去就を決めつけるのは早計であり、また、これっぽっちも楽しくない。

 チャンスさえ訪れれば、三笘は必ずステップアップする──。これが筆者の考え方だ。しかし今シーズンの開幕時に絞れば、ブライトンに落ち着いていたほうがいいのではないだろうか。なぜなら、ヨーロッパのフットボ−ルシーンが混沌の夏を迎えているからだ。

 クラブワールドカップに出場したチームは疲弊している。昨シーズンの疲れを引きずったまま炎天下で戦った。本来、休むべき期間に心と体を酷使したツケは、いずれ必ず支払わなければならない。

 リバプールのユルゲン・クロップ前監督も警鐘を鳴らした。

「これまでに経験したことのない甚大なダメージが、選手たちに降りかかるリスクは否定できない」

 たとえば、疲れきったマンチェスター・Cに三笘が加入したとしよう。日本代表の左ウイングは動けるが、ほかの選手はギアが上がらない。負傷選手が相次いでいても不思議ではなく、チームはずるずると下降線を描く。結果、期待された28歳の新戦力に批判の矢が飛んでくるかもしれない。

 要するに、ステップアップを急ぐ必要はないのである。

 チアゴ・シウバ(現フルミネンセ)がパリ・サンジェルマンからチェルシーに移籍したのは、36歳の時だった。ハリー・ケインは30歳でスパーズからバイエルンへ、遠藤航も30歳の時にシュツットガルトからリヴァプールにチャレンジし、ともに大成功している。

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