検索

久保建英、移籍へのカウントダウンは始まっているのか MOMでも満足できないドロー

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 5月4日(現地時間)、レアレ・アレーナ。レアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)はアスレティック・ビルバオを本拠地に迎えた"バスクダービー"を戦ったが、結果は0-0のスコアレスドローに終わっている。

「誰も勝者に値しなかった」(スペイン大手スポーツ紙『アス』)
「失望のドロー」(スペイン大手スポーツ紙『マルカ』)
「無力な引き分け」(スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』)

 各スポーツ紙の見出しにあるように、「負けたくない」という思いのほうが強く出たゲームだった。バスク自治州の盟主の座を懸けた"撃ち合いモード"には入っていない。早く言えば、退屈な試合だった。

 ラ・レアルの久保建英は、伝統あるバスクダービーをどう戦ったのか?

アスレティック・ビルバオ戦に出場、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた久保建英 photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAアスレティック・ビルバオ戦に出場、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた久保建英 photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAこの記事に関連する写真を見る 結論から言えば、久保はピッチに立った選手のなかで、最もプレーに迫力を感じさせたベストプレーヤーだった。その証拠に、今回も公式のマン・オブ・ザ・マッチに選出されている。『アス』紙、『マルカ』紙のどちらにも星ふたつ(0~3の4段階評価)が与えられ、両チームを通じて最多タイの星だった(ふたつ星は他にジョン・マルティンとビルバオのアレックス・ベレンゲルだけ)。

「Atrevimiento」

 久保は試合後のフラッシュインタビューに完璧なスペイン語で応え、チームとして「大胆さ」が足りなかったことに苦言を呈していた。孤軍奮闘で攻めかかっただけに、ドローは無念だったはずだ......。

 定位置である右アタッカーに入った久保は、相手の左サイドバックに入ったイニゴ・レクエにマークされたが、またも手玉に取っている(レクエは元MFで、攻撃力はあるが、守備力は低い)。カウンターでは飛び込ませず、長い距離をドリブルで運び、最後は左足で出したクロスがアウトになるも、序盤で力の差を見せつけた。その後はユニフォームを引っ張られ、背後からラグビーさながらのタックルを受けていた。

 カウンターのシーンでは、レクエのカバーに来たべレンゲルを置き去りに。背後からつかみかかられ、あわてふためいた末のファウルとなった。

「久保は攻撃にスイッチを入れる役割を担ったが、多くのファウルで止められていた。何とかしようと試みたが......」(『エル・ムンド・デポルティーボ』紙)

1 / 3

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

フォトギャラリーを見る

キーワード

このページのトップに戻る