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バルサ、インテルに「緩み」をつかれて失点も追いつく 「圧倒的な技術」は裏切らない (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【相手ディフェンダーが密集する前で...】

 だが、インテル戦で0-2とされたあとのバルサが浮き足立つことはなかった。そのバックボーンとなっていたのは技巧だ。「〇〇は裏切らない」という言い回しがあるが、バルサの場合はここに「圧倒的な技術」が入る。

 その代表格が右ウイングのラミン・ヤマル(スペイン代表)だ。度肝を抜かされたのは2失点目のあとのキックオフから、5度ほど攻守が入れ替わったあとだった。

 前半24分。MFフレンキー・デ・ヨング(オランダ代表)からパスを受けると、まずテュラムをかわす。続いて向かってきたニコロ・バレッラ(イタリア代表)も縦に楽々とかわすと、ペナルティボックスの角から内側に侵入する。目の前は人垣を作るかのように、引いて構えるインテルのディフェンダーが密集していた。

ところがヤマルは次の瞬間、左足を振り抜き、逆サイドのポスト直撃のシュートを見舞ったのだ。跳ね返った先は枠内。スーパーゴールが生まれた瞬間だった。リオネル・メッシも真似できそうにない、スゴみと芸術性とを備えたバロンドール級の一撃である。

 2-2とする同点弾が生まれたのは前半38分。MFペドリ(スペイン代表)の右からのクロスを左ウイングのラフィーニャ(ブラジル代表)が頭で落とし、フェラン・トーレス(スペイン代表)がプッシュする完璧な崩しだった。試合は振り出しに戻る。攻めるバルサ。守るインテル。この構図がより鮮明になって前半が終了した。

 この流れでいけば後半はバルサが爆発するのではないか、との読みは外れた。いつ逆転ゴールが決まってもおかしくない状況だった前半終了間際の勢いは失われていた。バルサは同点に追いついたことで少なからず精神的に落ち着いてしまったようだ。

 引いてゴール前を固めるばかりだったインテルが、後半開始から人数をかけて攻めるようになったこともそれに輪をかけた。奪われた陣地を回復しようとばかり、前に出た。

 もとからバルサは高いラインを敷くチームだ。インテルの選手は前残りになりがちだった。バルサDFは裏を突かれると危ない状況に陥っていた。"緩いバルサ"が現れたかに見えた。

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