中井卓大、スペイン4部での挑戦再開 復帰戦は「過去一、泥臭い試合」で勝利に貢献 (2ページ目)
【守備面で高い経験値】
その中井はほぼフル出場となる89分までプレーし、勝利に貢献している。
先制したラージョ・カンタブリアだが、ゴール前での守備陣のミスが重なってヌマンシアに同点ゴールを許してしまう。Bチームはトップチームへの選手供給という役割を負っている以上、所属選手は基本、23歳以下に限定される。タレント依存でもなんとか形になる攻撃面に比べ、基本的に経験値が必要となる守備面で成熟していないというのはありがちな現象だ。
リーグ最多得点ながら失点数も多いラージョ・カンタブリアには、まさにそれが当てはまる。"育成チーム"らしさ(チームコンセプトに沿って、ボールをきちんとコントロールしようとする)を感じさせる試合をしても、それ故に、勝利のみを目指す相手チームの後手を踏む場面もまた多かった。
筆者の印象ではあるが、この試合でも、もしもう少し早い時間帯に中井の交代が行なわれていたら、おそらくヌマンシアに同点、もしくは逆転ゴールを許していたのではないかというプレー内容と試合展開だった。
後手を踏まずにいられたのは、試合前から「間違いなく、蹴りあいになる」(中井)と予想してチームが準備してきたなかで、監督が中盤の底の位置に中井を先発起用し、守備的な役割に徹することをさせていたからだ。守備面における経験値という点で、21歳の中井は間違いなくチームの他の選手よりも高いものを持っていた。
試合後、中井は「長く出ていなかったので、試合勘に関してはよくなかったけど、ほぼフルタイムでプレーできたのはよかった。でも、あまり攻撃には絡めなかったし、なんならヘディングでボールを触った回数と脚で触った回数がそれほど変わらなかったかも。自分のなかでは過去一、泥臭い試合だったかもしれません」と、苦笑いしながらコメントしてくれた。
1週間をかけて準備し、泥臭くとも目指した勝利をしっかり掴むという、これぞ"プロのプレー"を全うした結果だとも言えるだろう。
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