検索

「久保建英は革命家」と絶賛する現地紙 下部組織出身の若手選手を啓発するプレーを連打 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【久保のおかげでチームがアップデート】

 交代出場直後、まずは22歳のDFジョン・アランブルのパスを引き出し、ライン間で受けると、マーカーを片手のハンドオフでいなしながら、21歳のMFパブロ・マリンに"黄金"を感じさせるラストパス、シュートはGKに防がれたが、決定機を作り出した。その後、アランブルのスローインをポストワークで落とし、こともなげに3点目を演出している。

 77分、久保は自陣で簡単にボールを収めると、24歳のMFホン・アンデル・オラサガスティとワンツーで縦に抜け出し、スペースをうまく使い、中央のマリンへ。さらにパスを受けた20歳のFWオーリ・オスカールソンのシュートは甘かったが、連係は鮮やかだった。79分には再びオラサガスティのパスを引き出し、縦に抜け出すとひとりで持ち込むが、アウトサイドのパスはわずかに逸れた。

 87分、久保はセルヒオ・ゴメスのクイックスタートを促し、ハイラインを突破。ドリブルでディフェンスをかわし、ネットを揺らしたが、VARでオフサイドの判定になった。さらに終了間際には、自らプレスバックでボールを奪い返し、自陣からカウンターを発動。うまく敵を引きつけながら、オスカールソンに絶好機を作った。これも枠に入れられなかったが......。

 久保がどれだけ周りと協調し、その力を生かし、高めていたか、この短い記述でも伝わるだろう。

 ラ・レアルは、久保という牽引役のおかげでチームとしてアップデートできている。最近は補強での失敗が多いが、一方でクラブは主力の半数以上が下部組織「スビエタ」出身で、若手を啓発する有力選手がいることで強さを増す構造がある。20歳のレフティアタッカー、アルカイツ・マリエスクレーナは「久保の後継者」と言われるが、その仕組みのなかにいるひとりだ。

「スビエタ」の選手育成の強みは、ユースからトップに昇格するのではなく、まずは3軍のラ・レアルC、次に2軍のラ・レアルB(通称サンセ)でプレー経験を積み、成熟する点にあるだろう。マリンも、オラサガスティも、マリエスクレーナも、マルティン・スビメンディでさえも、それは変わらない。しっかりとプロの土台を作っているから、トップに上がったら定着できるのだ。

2 / 3

キーワード

このページのトップに戻る