三笘薫から消えた「いやらしさ」 プレミアリーグ日本人対決で鎌田大地はチームを救う (2ページ目)
【危機を救った鎌田のワンプレー】
クリスタル・パレスが試合を2-1とするこのゴールを語る時、ムニョスのシュート、エゼのドリブルに加え、鎌田の軽やかなボール操作も忘れるわけにはいかない。評価を高めるハイレベルのプレーだった。
鎌田はもうひとつ、価値あるプレーを披露している。後半のアディショナルタイムのシーンだった。クリスタル・パレスはスコアこそ2-1を維持していたが、退場者をふたり出していた。直前にもバレバに強烈なシュートを浴びていた。アディショナルタイムは計12分。いつ同点弾が決まってもおかしくない状況だった。
GKのキックをバレバがヘッド。そのこぼれ球をMFマッツ・ウィーファー(オランダ代表)が胸トラップでヤン・ポール・ファン・ヘッケ(オランダ代表)に戻そうとした瞬間だった。鎌田がそこに襲いかかりボールを奪取する。ブライトンゴールに迫ろうとした段でファン・ヘッケに倒された。
ファン・ヘッケは2枚目のイエローで退場。9対11は9対10の関係に回復した。同点弾を浴びるのは時間の問題かに見えたクリスタル・パレスは、鎌田大地のワンプレーで絶体絶命の危機を脱することができた。
一方、後半18分ピッチを後にした三笘は、試合が1-1で推移していた後半6分、反則を犯していた。ハーフウェイラインを超えたところでバレバからパスを受けると、例によってドリブルを開始。見せ場を迎えていた。前方には広大なスペースがあった。縦に突いて出る絶好のチャンスだった。だが、三笘は縦ではなく内へ切り返した。
わざわざ敵が多くいる方向に舵を切った。その瞬間だった。ボールを奪いにきたタリク・ミッチェル(イングランド代表)と交錯。両者とも転倒した。しばらくうずくまったが、アンソニー・テーラー主審は三笘の反則とジャッジした。
三笘は足を引きずりながら、そのあと数分間プレーしたが、ブライトンベンチは続行不能と判断。ベンチに下げた。
ミッチェルとの交錯は確かに強引なプレーだった。奪われたくないとの気持ちがそうさせたのだろう。サイドから真ん中に入った場所なので、奪われると反転速攻を浴びやすい。好守がひっくり返るには危なすぎる場所だった。ならば三笘は、なぜ人がいない縦ではなく、あえて切り返し、人が多い内側のコースを選択したのか。
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