【プレミアリーグ】前田大然のスプリント力は21億円の価値 ティエリ・アンリも「ストライカーらしい」と絶賛 (3ページ目)
【フィットしそうなクラブは?】
前田のハイプレスは、全クラブが欲しているに違いない。ただ、近代フットボールのウイングは、決定力と打開力が求められている。リバプールのモハメド・サラー、アーセナルのブカヨ・サカが好例だ。マンチェスター・ユナイテッドのアマド・ディアロやマンチェスター・シティのジェレミー・ドクなども、いずれワールドクラスに変貌しうる逸材だ。
残念ながら前田には、彼らと伍す力はまだ備わっていない。だが、スプリント能力なら圧倒的に上まわっている。
たとえば、ニューカッスルならフィットするのではないだろうか。今シーズンのリーグカップ優勝でエディ・ハウ監督の続投は決定的だ。ハイライン・ハイプレスを用い、テクニシャンよりもハードワーカーを重用する指揮官なら、前田の持ち味を前線中央で引き出せるような気がしてならない。
アレクサンデル・イサクの去就が微妙とはいえ(アーセナル移籍の噂あり)、前田の強烈なプレスで生じるギャップ、スペースに、強面のジョエリントンとブルーノ・ギマランイスが襲いかかる。左サイドからアンソニー・ゴードンがカットインし、強烈なシュートを放つ。
一度ボールをクリアされても、前田は足を止めずに相手DFを涼しい顔で追い込むだろう。ニューカッスルの本拠セント・ジェームズ・パークに「ダイゼン! ダイゼン!」のコールが張り響く......想像するだけで身震いするではないか。
昨年夏、セルティックからブライトンに移籍したマット・オライリーは、絶妙のボールタッチで首脳陣の信頼を得ている。前田も続きたいところだ。セルティックとの契約は2027年6月まで残っている。ロジャーズ監督は「ダイゼンには残ってほしい」と訴える一方で、「好条件のオファーが届いた場合は......」引き留めが難しいことも示唆していた。
前田は10月で28歳になる。セルティックにすれば「売りどき」だ。ロジャーズ監督の言葉を借りるまでもなく、好条件のオファーは移籍のトリガーになる。レンヌに去った古橋は1000万ポンド(約19億5000円)だった。前田は1100万ポンド(約21億4000万円)前後と推測されている。
リッチなプレミアリーグにすれば、バーゲン価格だ。
著者プロフィール
粕谷秀樹 (かすや・ひでき)
1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年
、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、 海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム 、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出 版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン 社)など多数。
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