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【プレミアリーグ】前田大然のスプリント力は21億円の価値 ティエリ・アンリも「ストライカーらしい」と絶賛 (2ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【無尽蔵のスタミナには舌を巻く】

「なんとなく、わかってはいますけど......」

 前田は好調の要因をはぐらかしているが、決定機で落ち着きが感じられる。昨シーズンまでは肩に力が入りすぎてボールをミートできなかったり、コントロールが長くなりすぎたりして、せっかくのチャンスを逸するケースも少なくなかった。

 しかし、今シーズンはリラックスしており、ボールをミートできている。コントロールもブレなくなった。古橋亨梧がレンヌに移籍し、プレーエリアがサイドから中央に変わったことも、前田にとっては追い風だ。

 サウジアラビア戦ではポストに嫌われたものの、右足の一撃はストライカーらしい迫力が感じられた。

 さて、日本代表のセンターフォワードは上田綺世(フェイエノールト)が一番手、前田は現状ナンバー2か。周囲との連係を踏まえ、サイドや中盤の主力と多くの時間を共有した上田が有利なのだろう。だが、前田には驚愕のデータがある。

【第3節/アタランタ戦】41回(第2位)
【第4節/ライプチヒ】42回(第2位)
【第5節/クラブ・ブルージュ戦】37回(第2位)
【第6節/ザグレブ戦】42回(第2位)
【第7節/ヤングボーイズ戦】45回(第1位)
【プレーオフ第1戦/バイエルン戦】53回(第1位)

 今シーズンのチャンピオンズリーグにおける、前田のスプリント回数だ。リーグフェーズ全8節のうち5回がトップ2内。バイエルンとのノックアウトフェーズ・プレーオフ第1戦で堂々の1位。無尽蔵のスタミナには、舌を巻くしかない。

 このスプリント力を、日本代表でもっと生かして見てみたい。右から伊東純也、前田、三笘薫の「爆速3トップ」は、ワールドカップ本大会までに一度は試したい並びである。

 今シーズンの覚醒によって、前田は移籍市場の「推奨銘柄」になりつつある。チャンピオンズリーグでバイエルンを苦しめたことにより、ブンデスリーガのクラブが食指を伸ばしているとの情報が飛び交い始めた。

 プレミアリーグの各クラブも黙ってはいないだろう。古くは岡崎慎司、直近では遠藤航、三笘などの活躍により、日本人の価値が見直されている。ケガに苦しんでいるとはいえ、冨安健洋も高く評価される選手のひとりだ。

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