リバプールを率いて首位快走のスロット監督 プレミアリーグ初采配で好調な要因を分析する (2ページ目)
【自分でもここまでうまくいくとは】
昨季まで、スロット監督には母国以外での指導経験がなかった。現役時代も国内のクラブだけでプレーした代表と無縁のMFで、引退後は監督としてカンブール、AZ(菅原由勢が在籍)、フェイエノールト(上田綺世を指導)と国内でステップアップ。スロット曰く「アンフィールドに似ている」デ・カイプを本拠に構えるフェイエノールトで、一昨季にエールディビジを制し、昨季はKNVBカップで優勝している。
とはいえ、初の国外挑戦が、世界随一のリーグでも指折りの名門クラブだったわけだ。それなのに多くの人々の予想をいい意味で裏切り、目覚ましいスタートを切った。この好調の要因について『BBCスポーツ』のインタビューでギャリー・リネカーが質問し、スロット監督は次のように答えている。
「大きくアジャストする必要はあったが、結局のところ、私の仕事はここ(クラブのオフィスと練習場)にある。トレーニングピッチでは、世界のどこであろうと、やることに大差はない。そこで自分のアイデアを選手に伝えようとするだけだ。幸運にも、ここには毎日意欲的に成長しようとする選手が大勢いる。初日からそれは明らかだった。そうは言っても、自分でもここまでうまくいくとは予想していなかったけれども」
自身がクロップの後釜に指名されたのは、「似たプレースタイルを標榜していたからだろう」と分析し、現役時代の自らについては「足が遅いうえ、走行距離も少なかった」と振り返る。そんな選手が、20年近くプロのキャリアを続け、監督として名門の指揮官に任命されたのはなぜだろうか。
「思考が速く、フットボールの知識に富んでいたからだと思う。若い頃からボールを受ける時は常に周囲を確認し、その後の展開を考えていた。一緒にプレーした選手は誰ひとりとして、私が監督になったことに驚いていないはずだ」
世界中の足が速くない選手を励ますような言葉だ。
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