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ミランの守護神メニャンの弱点はどこか 南雄太が指摘「ひざから下に飛んでくるシュートに強くない」 (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

「抜群のシュートストップ能力を持つメニャンですが、失点シーンに目を向けてみると、課題と言えるような傾向も見えてきました。それは、メニャンはひざから下に飛んでくるシュートに強くない、ということです。

 GKにとって、手を出すべきか足を出すべきか、その判断が微妙になる高さというのがあるのですが、メニャンはその判断に改善点があるように見えますね。特に足で止めようとして、失敗しているケースが目立ちます。

 そのゴールシーンを見ると、確かに決まっても仕方がないゴールばかりです。ですが、マヌエル・ノイアー(バイエルン)やティボー・クルトワ(レアル・マドリード)、マルク=アンドレ・テア・シュテーゲン(バルセロナ)、アンドレ・オナナ(マンチェスター・ユナイテッド)、グリエルモ・ヴィカーリオ(トッテナム)といったGKならゴールを防いでいたかもしれない、というシーンも多々ありました。

 そういう意味では、メニャンは自分の得意なゾーンのシュートストップには滅法強い一方で、まだ世界のトップ・オブ・トップのGKになるためには残された課題があります。もちろん、メニャンはすでに世界有数のレベルなので、かなりレベルの高い話になってしまいますが。

 でも、彼はまだ29歳ですし、まだまだ進化できると思います。自分も現役時代に感じたことですが、GKは30歳から30代半ばくらいが最も脂が乗ってくる時期なので、今後のメニャンの成長に注目していきたいと思います」

 長くフランス代表の正GKを務めたウーゴ・ロリスが2022年カタールワールドカップ後に代表を引退。その後継者として、メニャンは大きな期待を背負っている。順調にいけば2026年ワールドカップでは、彼がフランス代表のゴールマウスを守るはずだ。

 果たして、メニャンは名手ロリスを超えることができるのか。今後に注目が集まる。

(第5回につづく)


【profile】
南雄太(みなみ・ゆうた)
1979年9月30日生まれ、東京都杉並区出身。静岡学園時代に高校選手権で優勝し、1998年に柏レイソルへ加入。柏の守護神として長年ゴールを守り続け、2010年以降はロアッソ熊本→横浜FC→大宮アルディージャと渡り歩いて2023年に現役を引退。1997年と1999年のワールドユースに出場し、2001年にはA代表にも選出。現在は解説業のかたわら、横浜FCのサッカースクールや流通経済大柏高、FCグラシオン東葛でGKコーチを務めている。ポジション=GK。身長185cm。

著者プロフィール

  • 中山 淳

    中山 淳 (なかやま・あつし)

    1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)

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