ミランの守護神メニャンの弱点はどこか 南雄太が指摘「ひざから下に飛んでくるシュートに強くない」
【新連載】
南雄太「元日本代表GKが見た一流GKのすごさ」
第4回:マイク・メニャン(フランス)
「これだけのサイズがありながら、シュートに対する反応がものすごく速い。加えて、順手と逆手の判断を間違えることがほとんどなく、その技術と判断力に優れている印象です。
『順手』とは、たとえば自分の右側に飛んできたシュートに右手を出すこと、『逆手』とは、それとは反対の左手を出すことを言います。
一瞬の判断になりますが、それを間違ってしまうと、止められるシュートも止められません。そういう部分も、彼がシュートストップを得意としている理由のひとつだと思います」
現在、横浜FCフットボールアカデミーサッカースクールのGKクラスのコーチを務め、流通経済大学付属柏高等学校のGKコーチとしても活躍する南雄太氏がそのように解説してくれたのはフランス代表の正GKを務め、ミラン(イタリア)の守護神としても活躍しているマイク・メニャンだ。
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ミランの守護神は現在29歳のマイク・メニャン photo by AFLO パリ・サンジェルマンのフォルマション(下部組織)出身のメニャンが頭角を現したのは、2015年に移籍したリール時代。名将マルセロ・ビエルサ監督から正GKに抜擢された2017-18シーズンのことだった。
以降、リールでは2020-21シーズンにリーグ・アン優勝に貢献するなど、その評価は急上昇。そして2021年の夏、ミランにステップアップ移籍を果たした。
そんなメニャンの特徴について、南氏が続ける。
「一般的にこれだけの身体能力があると、それに頼りがちになり、ある意味で雑なプレースタイルになりやすい。ですが、メニャンの場合は違っていて、たとえばステップを細かく修正しながらプレーしています。
しかも、セービングの動きの前動作である『プレジャンプ』がすごく小さいことも特徴ですね。プレジャンプは大きければ大きいほど跳躍力がつくので、遠くに飛んできたシュートに対しても手が届きやすいというメリットがあります。
しかし逆に、シュートを狙う側からするとタイミングを外しやすいので、それがGKとしてはデメリットになってしまいます。足が宙に浮いた瞬間にシュートを打たれたら、反応しようがありませんしね。
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著者プロフィール
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)