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久保建英は「非常にフレンドリーで、楽しく、愉快な人物」地元ファンの愛を背に大一番のマンU戦へ (3ページ目)

  • ロベルト・ラマホ●取材・文 text by Roberto Ramajo

【マンチェスター・ユナイテッド戦は主役になるチャンス】

 久保は来るマンチェスター・ユナイテッド戦で、これまで同様に自分らしさを発揮する必要がある。行き詰まりを感じる瞬間にプレーを創作し、試合の流れを変えることができる、漫画の世界から飛び出してきたような選手に再びならなければいけない。

 この対戦はラ・レアルでの成長を見せつける絶好の機会だ。ヨーロッパリーグ(EL)のミッティラン戦後、「ラ・レアルを去る時は何か大きなことをして去りたい。僕はまだラ・レアルのためにすべてを捧げたわけではない。やるべきことが残っている」と私たちに語っていた通り、その実力を示す時である。

 相手は近年最悪の時期を過ごしているとはいえ、ヨーロッパで最も権威のあるクラブのひとつ。その相手をELで敗退させる主役となるチャンスが間近に迫っている。この試合での活躍は、ファンに愛される選手としてクラブの歴史に名を残す瞬間となる。

 ラ・レアルがラウンド16を突破できるかどうかの鍵は、まさに久保の奮起にかかっている。もちろんチームとしての力が最重要だが、久保の違いを生み出す能力が最終的に勝敗を分けることになるだろう。ラ・レアルが中盤で競争力を発揮し、守備で不条理なミスを犯さなければ、久保の才能を発揮するための土壌は十分に整うはずだ。

 マンチェスター・ユナイテッド戦は、国王杯準決勝第1戦のレアル・マドリード戦でやったことを再現しなければならない。この試合でラ・レアルは高いレベルで競り合い、久保とアンデル・バレネチェアが違いを作り、すばらしいサッカーを披露したが、いいパフォーマンスを締めくくるゴールが唯一足りなかった。

 得点力不足はラ・レアルが今季慢性的に抱えている問題だ。「いいプレーはしているのに勝てない」という状況を繰り返さないために、久保はもっとゴールに関与しなければならない。いくらいいプレーがあろうとも、ゴールこそが勝者と敗者を分けるものであり、久保はそれを嫌というほどわかっているからこそ、その点で自分に厳しいのだ。

 人々はラ・レアルのスターとして久保を称賛し、拍手を送り、大きな期待を寄せる。今のラ・レアルにはスポーツ面でもメディア面においても彼ほど注目される選手はいない。それを再確認するのが、マンチェスター・ユナイテッド戦となることを期待したい。
(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)

著者プロフィール

  • 高橋智行

    高橋智行 (たかはし・ともゆき)

    茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。

【画像】久保建英のレアル・ソシエダほか 欧州サッカー注目クラブの最新主要フォーメーション

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